トド

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 北海道沿岸などで漁業被害の原因となっているトドの駆除上限数(採捕枠)が今秋、501頭と従来の2倍となる。捕獲したトドは有効利用されることが望ましいが、トドの肉は食用としては人気がない。どう活用できるか、北海道庁は頭を悩ませている。


◆白子が好き?

 トドは主に10月から6月頃にかけ、ロシア海域から北海道沿岸に来る。定置網を食い破ったり、網に入った魚を食べたりし、漁業被害額は平成元年度の約3億8千万円から24年度は約16億円と4倍以上に拡大している。

 北海道水産林務部水産振興課の津坂透課長は「トドはなんでも食べるが、中でもタラの白子やタコが好き。底魚のタラは網で引き揚げてきたときを狙い、白子だけ食べる。学習するのか、多くの魚を捕る船を狙うらしい。トドとの知恵比べは数十年に及ぶが、負けてばかり」と打ち明ける。

 トドはかつて、有害鳥獣として自衛隊の協力で駆除していた。しかし、世界的に減少していることから保護が叫ばれるようになり、環境省もレッドリストで「絶滅危惧2類(絶滅の危険が増大している種)」に分類し、水産庁は駆除数を厳格に管理。これが奏功し、24年のレッドリスト見直しでは、準絶滅危惧(存続基盤が脆弱(ぜいじゃく)な種)へとランクが下がった。毎年約6千頭が日本に来遊することやその起源となるアジア集団の個体数が増加傾向にあるのがその理由だ。

◆肉の味は…

 準絶滅危惧でも絶滅しないよう管理は必要。ただ、漁業被害を拡大させないため、水産庁は駆除上限数をこれまでの2倍の501頭とした。

 しかし、トドを捕獲できるハンターは不足し、年間501頭も駆除できるか疑問視する声もある。また、駆除後は水産資源として有効利用することが求められる。現在、トドの肉を使った「トドカレー」の缶詰やレトルトカレーが土産用として売られている。

 ただ、これらの商品で使われるトドは年間約250頭のうち50~60頭。消費が少ないため、これ以上の加工は難しく、残りの約200頭は利用できていない。「どうすればおいしく食べられるか知恵を絞っているところ。ただ、捕獲は冬場だけで、年間を通じて安定供給できず、首都圏のレストランなどで扱ってもらうのは難しい」(津坂課長)

 かつて、トドの皮は衣服やかばん、脂肪は油として使われていたこともあった。トドならではの特性を生かした魅力的な商品が開発できるか-。津坂課長は「日本海側は資源が減少し、北海道の水産業にとってトドは重要課題。こうした現状を知ってもらい、駆除したトドの利用法を考えてほしい」と話している。





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