和洋折衷

卓上四季 3/28

英国にレッドテープという言葉がある。しゃくし定規なお役所の仕事を指す。その昔、公文書が赤いひもで結ばれたことから、そう呼ばれた。

こちらにもレッドテープが通されていたのか。小学校の道徳教科書である。出版社が文科省の検定を受けて、散歩の途中に立ち寄る店を「パン屋」から「和菓子屋」に修正した。「わが国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つ」という学習指導要領に沿っていない、と意見が付いたためという。

あんパンやクリームパン。日本独自のパンは多数ある。むしろ和洋折衷は日本文化の特徴の一つ。和菓子でなければわが国に親しみを持てないとでもいうのか。

アスレチック遊具で遊ぶ公園を和楽器店に差し替えた教科書もあった。琴や三味線を扱う店がどれほど身近にあるだろう。道徳は音色を聞かせるところから始めなければならないかも。

出版社にとって検定不合格となれば出版はおぼつかない。文科省の意見は抽象的で、どう直せば通るのか悩むと聞く。忖度(そんたく)を強いられるようでは萎縮して良い内容になるまい。

カレーやイタリアンなど食べ物一つ取っても、軽々と国境を越えているのが子どもの置かれた状況である。生活実感が伴わなければ心にすとんと響かない。教科書だけで学ぶわけではないが、お仕着せが見えては子どもたちにレッドテープならぬレッドカードを突きつけられるかもしれない。

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見方によってはパンの方が古い

多くの国民にたくさんたくさんつっこみを受けた道徳の教科書検定。特にパン屋さんと和菓子屋さんのくだりは解説の必要がないくらいの笑えない珍百景。政府がおかしなことをしてくれたおかげで、日本のパンと和菓子の歴史について調べてみようと思いました。

パンは、天文12年、種子島に漂着したポルトガル船により、日本に初めて鉄砲とパンが伝来。それに対して、京菓子、江戸菓子等、和菓子の殆どは江戸時代につくられたわけで、そういった意味においてはパンの方が古い。それに、和菓子につきもののお茶は、輸入品。

このように、日本の伝統・文化というのはいったい何を指すのかは微妙。しかし政府が何をしたいのかは見えてきます。形の無い者に対して畏敬の念を持ち、身命を捧げよ、というのがねらいなのでしょう。

今回、多くのつっこみを入れたように、政府がおかしなことを押し付けようとすればするほど、国民、市民は危険を察知して声をあげるでしょう。国民、市民をなめてはいけないということです。

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