空き家

卓上四季 03/27

食物を求めて移動生活を送る野生のチンパンジーは固定の巣を持たないようだ。日が沈む前、移動先でその夜を過ごすベッドを毎日、作る。ヒョウなどが上って来られない樹上で枝を折り曲げ土台を作り、その上に葉のついた枝を重ねてクッションにする。作業はわずか数分。

驚くのは一度使ったベッドをその後、ほとんど使わないことだ。葉が落ちたり枯れたりなどして寝心地が悪くなるかららしい。座馬耕一郎著「チンパンジーは365日ベッドを作る」(ポプラ新書)で知った。

慣れたベッドもいいが、毎日、新品なら気分も良く、眠りが深まるかもしれない。しかも、古いベッドは放置しても自然に朽ち果てるから、環境にも優しい。

人間社会ではそうはいかない。こちらは「空きベッド」ならぬ「空き家」問題だ。過疎化と人口減で、このままいけば、15年後には戸建て、マンションひっくるめて、3戸に1戸が空き家になるという予測もある。

人が住まなくなった家は劣化する。風で外壁や屋根などが吹き飛ばされたら危ない。防犯上の心配もある。分かっていても、解体するには費用がいる。それが空き家増加に歯止めがかからない原因である。

もとはといえば、都市計画法が高度成長期仕様のままで宅地開発が進んだ結果との指摘がある。ならば、国の責任だが、大枚はたいたマイホームがやがて厄介ものになるとは、割り切れない。

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眠りにこだわる野生チンパンジーの
夜の世界を覗いてみよう。
「寝てみたら快適だった!」チンパンジーの樹上のベッド。
その秘密を解き明かすべく、若き研究者がアフリカ調査を開始した。
構造、寝姿、群れの中での位置関係など、
綿密で大胆、ときに無謀(?)な野生チンパンジーへのアプローチを通し、
眠りの本質、進化の道すじを解き明かす快著。

【目次】
序章  ネコはこたつで、チンパンジーは木の上で
第1章 チンパンジーはベッド職人
第2章 安全で安心な睡眠
第3章 睡眠と脳波と夢
第4章 寝姿いろいろ
第5章 トイレで起きるチンパンジー
第6章 お皿型ベッドの秘密
第7章 誰と眠る? ひとりで眠る?
終章  ヒトの眠りの歴史

【著者略歴】
1972年岐阜県生まれ。京都大学農学部卒業。京都大学大学院理学研究科博士後期課程修了。博士(理学)。現在京都大学アフリカ地域研究資料センター機関研究員。著書に『Mahale Chimpanzees: 50 Years of Research』(共編著、Cambridge University Press)、『フィールド映像術(FENICS 100万人のフィールドワーカーシリーズ15)』(分担執筆、古今書院)、『Chimpanzee Behavior in the Wild』(共著、Springer)、『マハレのチンパンジー―《パンスロポロジー》の三七年』(分担執筆、京都大学学術出版会)など。
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