ほっこりの意味


ことばの話 「ほっこりの意味」

先日、用語懇談会の放送分科会で、毎日放送のベテラン委員・Mさんが、こんな話をしてくれました。
「『ほっこり』という言葉は、今使われているような『ほっとする』『あったかい』という意味ではなくて『疲れた』という意味なんだよなあ。」
「ええ!そうなんですか!」
一同、ビックリ。早速(と言っても、だいぶ経ってからですが)辞書を引いてみました。『広辞苑』を引くと、
「ほっこり」(1)あたたかなさま。ほかほか。狂言の用例=「ほっこりとして一杯飲まう」(2)(上方方言)ふかし芋。(「膝栗毛」から用例)(3)もてあまして疲れたさま(用例なし)。
と3つの意味が載っていて、1は「あったかい」の意味で、私たちが普段使う「ほっこり」、2は「お芋」、これも暖かい(温かい)ことからの類推での使われ方でしょう。そして3番目にMさんがおっしゃる「疲れた」という意味が載っていました!ただし、用例はありませんでした。
「暖かい」と「疲れた」のどちらの意味が“初め”なのかはわかりませんが、たしかに両方の意味があるのですね。そこで『精選版日本国語大辞典』で「ほっこり」を引いてみると、こちらは6つ、意味が載っていました。その1番目と5番目が「暖かい」と「疲れた」の意味のようです。
(1)いかにも暖かそうなさまを表す語。*かたこと(1650)五「ほっこりはあたたまるかた與欠。是もほは火成べし」
(5)うんざりしたり、困り果てたりするさまを表す語。*浮世草子・諸芸独自万(1783)「イヤモ世話なもので、ほっこり致しました」
ということで、用例の演題から言うと、「暖かい」意味の方が100年以上古いようですね。しかし、「疲れた」の方も江戸時代からある意味なのですね。勉強になりました。
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