「鎖国」復活?

水や空 3/26

「鎖国」という表記が小中学校の社会科の教科書から消えるらしい-と本欄に書いたのは2月下旬のこと。「幕府の対外政策」に改めるというが、それでは歴史の説明になっていないし、長崎の果たした役割も埋もれてしまう、と。

「開国」という語は教科書に残るという。閉ざされた時代、つまり鎖国期あればこそ開かれたのであって、「開国」だけが残るのはどこかおかしい。

同じように考える人、いや、もっと深く考察する人がいて、文部科学省に物申したのかもしれない。消えかけた「鎖国」の文字が一転、教科書に残る方向という。

文科省にも理屈はあった。一つ、長崎を拠点にオランダや中国と交易があり、完全に閉ざしてはいなかった。一つ、「鎖国」とは19世紀初めの造語で、当時は流布していなかったが、「開国」という言葉は幕末期に使われていた。

そうだとしても、鎖国政策を抜きにして江戸時代を説明するのは、先生たちには至難の業だろう。わざわざ「幕府の対外政策」と曖昧に言い換える意味もない。それぐらい、文科省の人たちは想像できたろうに。

ともかく「鎖国」の一語が残ってよかった-とホッとした後、思わず首をひねる。そもそもお役所の所見が妙に迷走したということで、「復活」に胸をなで下ろすのも、何やら変な感じだな、と。
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