身をたて名をあげ やよ励めよ

仰げば尊し

歌:童謡・唱歌 作詞:文部省唱歌 作曲:文部省唱歌

一、
仰げば尊し、わが師の恩。
教の庭にも、はやいくとせ。
おもえばいと疾し、このとし月。
今こそわかれめ、いざさらば。
二、
互いにむつみし、日ごろの恩。
わかるる後にも、やよわするな。
身をたて名をあげ、やよはげめよ。
今こそわかれめ、いざさらば。
三、
朝ゆうなれにし、まなびの窓。
ほたるのともし火、つむ白雪。
わするるまぞなき、ゆくとし月。
今こそわかれめ、いざさらば。



…………………………

滴一滴 3/25

 作家の幸田文が、小学校の卒業式で大泣きした思い出を著書につづっている。涙があふれ出たのは「仰げば尊し」を級友と一緒に歌ったときである。理由が少し変わっている。

〈身をたて名をあげ やよ励めよ〉。その部分で多感な少女は感じた。刻苦勉励の日がまだまだ続くのか。私にはできない。そんな宿題があるのでは学校へはもう遊びに来られない。そこで初めて別離の感に包まれ、泣いたのだという。

卒業の季節である。真っ先に頭に浮かぶ「仰げば尊し」だが、ひと頃より歌われる機会は減った。先の歌詞のような立身出世志向が時代掛かっているとか、言葉遣いが古くて生徒に意味が伝わりにくいといった事情のようだ。

例えば〈思えばいととし〉は「いと疾(と)し」で、とても早かったこと、〈今こそわかれめ〉は別れよう、という意味だ。筆者は長いこと「いとおしい」「分かれ目」と勘違いしていた。それでもなお心に染みるのは、曲の持つ力だろう。

代わるようにして、卒業ソングとしてすっかり定着したのが「旅立ちの日に」だ。〈今別れの時 飛び立とう未来信じて 弾む若い力信じて この広いこの広い 大空に〉。歌詞は春らしく、どこまでも伸びやかだ。

別れからまもなく出会いの季節へ。若者たちには、それぞれの応援歌を胸に新しい一歩を力強く踏み出してほしい。

…………………………

旅立ちの日に

歌:合唱曲 作詞:小嶋 登 作曲:坂本 浩美

白い光りの中に 山なみは萌(も)えて
遥かな空の果てまでも 君は飛び立つ
限りなく青い空に 心ふるわせ
自由を駆ける鳥よ ふり返ることもせず
勇気を翼にこめて 希望の風にのり
このひろい大空に 夢をたくして

懐かしい友の声 ふとよみがえる
意味もないいさかいに 泣いたあのとき
心かよったうれしさに 抱き合った日よ
みんなすぎたけれど 思いで強く抱いて
勇気を翼に込めて 希望の風にのり
このひろい大空に 夢をたくして

いま 別れのとき
飛び立とう 未来信じて
弾む若い力信じて
このひろい
このひろい 大空に

いま 別れのとき
飛び立とう 未来信じて
弾む若い力信じて
このひろい
このひろい 大空に

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