育てられ方

河北春秋 3/25

 <おかあちゃんがおこったとき おでこにしわがよる わたしがのばしても 「ゆうことをきかへんと ずっとこのままにしとく」といいます おかあちゃんが おばあちゃんになったらいややから わたしはかしこうにするねん>

児童文学作家の故灰谷健次郎さんの『せんせいけらいになれ』にある小学1年生の詩だ。温かくてユーモラスでいとおしい。怒られて甘えてまた怒られてを繰り返し、大きくなっていく。

そんな子どもたちを、目配りし声掛けして育むのが周囲の大人たちの役目だった。変わったのはいつ頃だろう。小児科医の毛利子来(たねき)さんは、30年ほど前に「育てられ方が人間形成を決定的に左右する」と書いている。今思えば大人への警告だった。

殺人罪などに問われた元名古屋大女子学生(仙台市出身)に、無期懲役の判決が言い渡された。公判で、遺族の心情が想像できないと言い、家族を殺す夢も見たと話した。個々がかけがえのない存在であるという感覚はないとも語った。

言葉に耳を疑いつつも、大人が関わる機会は何度もあったのではと思ってしまう。母校の教員が「高校が止めることはできなかったのか」と悔やんでいる。声掛けどころか、マンション住民同士のあいさつさえ禁止される現代を、顧みずにはいられない。
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