森友学園


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南風録 3/24

 左胸の鮮やかな緑色が目立った。国会に呼ばれた証人が付けるリボンである。うそをつけば偽証罪に問われる立場の重さを示す。次々と飛び出した証言は、これまでと違った重みがあるはずだ。

 学校法人「森友学園」の籠池泰典氏が証人喚問の場に立った。安倍晋三首相から昭恵夫人を通じた寄付、国有地の払い下げや小学校設置認可への政治家の関与など、多くの質問に答えた。

 「昭恵夫人から100万円の寄付をいただいた。鮮明に覚えている」「国有地は想定外の値下げにびっくりした。政治的な関与はあったと認識している」。初めて耳にする政治家や官僚の名前も出てきた。

 とはいえ、どこまで信用できるかは分からない。金額の違う契約書を提出したり、発言内容がころころ変わったりと、かなり強引な人のようだ。官邸は寄付の事実関係を改めて否定した。どちらかがうそをついている。

 少なくない政治家が籠池氏の教育方針に共鳴し、応援してきたことは事実らしい。しかし「手のひらを返したように離れた」と嘆いてみせた。身から出たさびかもしれないが、自らを「トカゲのしっぽ」にたとえた恨み節も聞かれた。

 身の危険を感じたトカゲは、自らしっぽを切って逃げる。やたらと動くしっぽばかりに目を奪われるが、トカゲを逃がそうとする「輩(やから)」はどこかにいるのか、いないのか。真相の究明はこれからである。

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水や空 3/24

 記憶とは、もろいものらしい。鮮明な記憶は、自分の体験を正しく反映していると信じられているが、実際は時の流れとともに信じられないほど姿を変えるものだ-と中公新書『証言の心理学』(高木光太郎さん著)にある。

体験を"発酵"させ、少しずつ変化させる「熟成庫」のようなもの、それが記憶なのだという。「鮮明に覚えている」と言い切ったこの人の頭の中はどうだろう。「森友学園」の理事長退任を表明した籠池(かごいけ)泰典氏。

国会の証人喚問で「安倍晋三からです」と首相夫人から100万円の寄付を受けたと明言した。首相は、払い下げにも、小学校の認可にも、寄付金集めにも関与を否定し、自分や夫人が関わっていたら「総理大臣も国会議員の職も辞する」とまで言い切っている。

事実は一つ。全く食い違う主張が二つ。どちらかの記憶が熟成し、変化したのか。まさか、どちらかがでっち上げなのか。

氏は首相が「しつこい」と言うのを見て「手のひらを返された」と思ったという。大阪府知事からも、はしごを外されたと感じたらしい。察するに、この人の心に渦巻く感情は、かなり激烈だ。

ありのままなのか、熟成なのか、作り事なのか分からないような記憶の証言と、恨み節を聞かされた後、ふと思う。結局、何か一つでも解明されたっけ、と。

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春秋 3/24

 「疑惑の総合庁舎」。1階は文部科学省、2階は国土交通省、3階は財務省、4階は大阪府、最上階は首相官邸、地下には議員の控室か

森友学園を巡るさまざまな問題である。幼稚園児に「安倍晋三首相頑張れ」「安保法制、国会通過よかったです」と言わせるのは、特定の政党の支持を禁じた教育基本法に反する可能性がある。幼稚園は文科省の所管だ。

最大の疑惑は小学校新設のための国有地払い下げ。破格の値引きと異例のスピード決定。財務省や国交省が森友側の意向に沿ってさまざまな便宜を図ったとしか思えない。国交省は水増しされた建設費に基づいて補助金も交付していた。

疑惑が発覚しなければ、大阪府も小学校開設を認可する方向だった。審査段階で運営上の問題などが指摘されたにもかかわらず。不自然すぎる流れの裏には政治の力が、と疑いたくなる。

渦中の籠池泰典・森友学園理事長が国会で証言した。国有地取得に関し「政治的な関与はあっただろうと認識している」と述べ、安倍首相の昭恵夫人や複数の政治家に助力を求めたことを明かした。昭恵夫人から100万円の寄付を受けた、と改めて主張した。

あくまでも籠池氏の一方的な言い分だが、これを取っ掛かりに、総合庁舎の面々の口も開かせて真相を明らかにせねばならない。背後に誰かいるのか。問題の国有地のように、地下を掘ってみると怪しいものが出てきそうな。

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小社会 3/24

 「うそを言うとは真実だと思って間違ったことを言うこと」「うそをつくとは自分が知っていることの逆を言うこと」。16世紀に活躍したフランスの思想家モンテーニュは代表作「エセー」で、こんな見方をしている。

 「言う」と「つく」を分けることの当否は、言語の違いもあるからよく分からない。記憶違いなどによって結果的にうそを言ったことになる場合はあるだろう。むろん、モンテーニュの基本的な考え方は「うそは呪われた悪徳」にある。

 きのう衆参両院で行われた森友学園の籠池(かごいけ)氏の証人喚問。うそをつけば刑事告発される可能性もある場だ。安倍首相側が否定する100万円寄付について、詳しく証言した。どちらかがうそをついているのは確かなようだから、誰もが真相を知りたいと思う。

 核心の問題である不透明な土地取引を巡っても、事実の解明が進んだとはいえない。政治家の関与について籠池氏は「あっただろうと認識している」と述べたが、あくまで推測。余計に分からなくなった、という人も多いのではないか。

 「悪徳」と断じたモンテーニュはこうも続ける。「うその恐ろしさと重大さを認めるならば、他のいろいろの悪徳以上に、これを火刑をもって追及してしかるべきであろう」。現代に「火刑」はそぐわないが。

 真実とうそをうやむやにしたままで幕引きに走るようであれば、主権者が国会に与えた国政調査権が泣く。


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鳴潮 3/24

 一時期、空き地という空き地に繁茂していたセイタカアワダチソウは北米原産で、明治時代、観賞用に輸入された。大正末ごろに野生化し、戦後、爆発的に広がる。

 在来植物との攻防は、人目に触れる地上だけではなかった。「たたかう植物」(稲垣栄洋著、ちくま新書)によると、セイタカアワダチソウは根から毒性物質を出す。地下では「化学兵器」を使った激しい戦いがあったのである。

 物事は、見えるところだけで進んでいるわけではない。大阪市の森友学園の問題も、長い地下茎が複雑に絡み合っているのではないか。籠池泰典氏の証人喚問を聞きながら、そんな疑念を強くした。

 100万円の寄付や国有地の払い下げ、特異な教育方針を掲げる小学校の認可など、籠池氏の一方的な証言だけでは、いよいよ闇が深くなるばかりだ。

 国や大阪府がどういった判断をしたのか、忖度(そんたく)はあったのか、籠池氏をただしても、もとより明らかになるはずはない。関係者の名も、ぞろぞろ出てきた。ぜひ事情を聴かせてもらいたい。話の流れからすれば、偽証すると罪に問われる証人喚問という形が公平だろう。

 セイタカアワダチソウは、一時の勢いを失っているそうだ。皮肉なことに、他の植物を圧倒した途端、今度は自家中毒を起こしているらしい。根があって花が咲く、植物の不思議である。

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正平調 3/24

後漢時代、清廉潔白で知られた楊震(ようしん)という官僚に、男が金子(きんす)を渡そうとした。「どうぞお納めください」。

丁重に断る楊震に男は言う。「ここにいるのは、私とあなただけ。だれも知りません」。すると楊震、居住まいを正してこう答えた。「天は知る。地は知る。私とあなたも知っている」。隠し事はばれる、という有名な中国故事「四知(しち)」である。

「私」か「あなた」、どちらかがウソをついている。はっきりしたのはこのことである。きのう、「森友学園」の籠池泰典氏が国会の証人喚問で「首相夫人から100万円の寄付を受けた」と述べた。夫人は否定している。

夫人「安倍晋三からです。どうぞ」。籠池氏「いいんでしょうか」。明かされた園長室でのやりとりは具体的で、本当にあったことのようにも聞こえる。それとも、やけっぱちのでたらめか。判断するには材料が足りない。

リクルート事件で首謀者とされ、国会で証人喚問を受けた元リクルート会長、江副浩正氏の回想がある。身の潔白を伝えたつもりが、新聞の見出しは「疑惑深まる」。自身や政界に向けられたまなざしの厳しさを知ったと。

きのうも聞き捨てならない証言が多くあった。四知。いま、真実を知るべき天と地とは、国民であり、社会だろう。「疑惑深まる」以外の見出しが浮かばない。

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日報抄 3/24

 「いい仕事してますねぇ」でおなじみの古美術鑑定家、中島誠之助さんが先日、小千谷市で講演した。「いい仕事とは、まねができず、手抜きがないもの。作者の気合が入っている」と語っていた。そう聞くと、一方の「いけませんねぇ」の贋作(がんさく)についても知りたくなる。

著書の「ニセモノ師たち」ではモノをかばっている。例えば、きまじめに模倣から美術を学ぼうとする作家の作は、ありのままであればコピーで終わる。それをへたに薄汚れさせ「桃山時代の作」と偽って売る人が現れるせいで、ニセモノが世に出る。

要は人の罪である。ときに「目利き」がくせ者となる。一流作家に指導し、奈良や平安のモノを写してもらう者がいる。それを土蔵に寝かせ、風情を出す。「時代付け」というらしい。

一見しただけでは、真偽の見分けはつかない。この紙一重が、また買う方の気を迷わせる。欲と欲がまみえ、生まれたニセモノが世を惑わせる。きのうの証人喚問の真偽はいかに。

首相夫人から100万円の寄付を受け取ったと明言した。人払いをした上で、安倍晋三首相の名を挙げ、渡されたという。この具体性を「時代付け」まがいと断じていいものか。偽証すれば10年以下の懲役もあり得る。それを承知の上で籠池泰典(かごいけやすのり)氏は証言している。

首相も昭恵夫人も、寄付を否定する。それならば、たちの悪い目利きがいたか。もうけ話に鼻が利く者、権力を引き寄せようとした者はどこの誰。ニセモノ師をあぶり出すまで幕は下ろせない。

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斜面 3/24

「ぼくだってトカゲ」はトカゲの尻尾が主人公の絵本だ。内田麟太郎さんが文、市居みかさんが絵を描いた。トカゲがトンビに襲われ、尻尾を切って逃げる。置き去りにされた尻尾は嘆き、悲しむ。そして…。

 トカゲは危険を感じると「自切」という最後の手段に出る。切り離した尻尾は激しく動くので敵が気をとられているうちに身を隠す。本体の尾は再生する。転じて、問い詰められた責任を下位の関係者にかぶせて逃れることを「トカゲの尻尾切り」と言う。

 切り離された尻尾に自らを重ねたのか。森友学園の籠池泰典氏だ。国会の証人喚問で「私だけトカゲの尻尾切りで罪をかぶせられるのではなく、他の方も国会に呼び真相を究明してほしい」と主張した。小学校の開校が頓挫したことへの恨み節は、安倍晋三首相夫妻にも向けたのか。

 幼稚園の園長室で昭恵夫人から100万円の寄付を受け取った、と明言した。嘘は偽証罪に問われる、本当か、とただされると「事実は小説よりも奇なり」と見えを切った。関係者の言い分は食い違っている。逃げ去ったトカゲの行方は分からないままだ。

 絵本は、尻尾に救世主が現れ意外な結末を迎える。籠池氏の物語はどう展開するか。補助金不正の疑いもある。国有地を不当に安く売却したとして近畿財務局が背任容疑で告発された。政治家の関与を含めて突き止めたいトカゲの正体だ。


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雷鳴抄 3/24

 籠池泰典(かごいけやすのり)氏の証人喚問が終わった。各党の思惑があって質問が多岐にわたったことや、時間の制約などを差し引いても分からないことばかりだ。

この「森友学園」問題のキーワードは忖度(そんたく)だろう。安倍晋三(あべしんぞう)政権を支える空気のような存在だ。首相は政治主導を理由に、幹部官僚の人事権を一手に握った。官邸の覚えがめでたくなければ、希望するポストに就けない。官僚は自衛策として政権の顔色をうかがう。

自民党の総裁任期が「連続3期9年」まで延び、安倍政権は五輪後の2021年9月まで続く可能性がある。この現実を前に、誰が政権の意向に反して、正論を述べようとするだろうか。

その忖度の対象は首相一人だけでなく、配偶者らにも及ぶ。いくら別人格とはいえ、総理大臣夫人として振る舞う昭恵(あきえ)氏を「私人」として捉える人はおるまい。役割の重みを考えれば、自制という発想があってもよかったのではないか。

必要なのは「李下(りか)に冠を正さず」という用心深さであり、忖度させない公平な対応である。首相がよく触れる司馬遼太郎(しばりょうたろう)氏の「坂の上の雲」には、日露戦争で勝利した連合艦隊の「解散ノ辞」が紹介されている。最後は「古人曰(いわ)く、勝つて兜(かぶと)の緒を締めよ」とある。

旧海軍の最期を思えば、選挙で連勝し「1強」となった首相が肝に銘じるべき言葉ではないか。


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河北春秋 3/24

 「真実とは、本人が最も納得できる仮説に他ならない」。作家の森博嗣さんが言っている。一つしかない真実にたどり着こうとするなら、まず胸に手を当て心の声を聞いてみる。都合の良い仮説に自身が惑わされていないか。そんな戒めだろう。

きのう国会での証人喚問に臨んだ森友学園の籠池泰典氏。国有地の取得や小学校設置認可などを巡る疑惑の渦中にあって、終始落ち着き払って証言した。ただテレビ画面は心の中も映し出す。答えに窮して、何度か証言拒否を申し出た時は動揺の色も見せた。

焦点だった安倍首相からあったという100万円の寄付は「鮮明に覚えている」。昭恵夫人との現金授受があったとされる場面を語った。なぜ今になって言い出したのか。「応援してくれていた人たちが、離れていった」と語る恨み節は、利益を期待するだけの関係を示すのか。

新たな政治家の実名も数人出て、土地取得に「政治的関与はあっただろう」「ある時から神風が吹いた」と言う。昭恵夫人との関係も不透明さは拭えない。疑問は広がる。

菅官房長官は「首相側からの寄付はしていない」と改めて否定したが、ここが幕引きの地点でないのは明らか。与野党はさらに複数人の国会招致で解明を続ける意向。知りたいのは仮説ではない真実だ。

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卓上四季 3/24

中国古代の説話集「戦国策」に出てくる話である。魏の恵王に部下が尋ねた。「市場に虎が出たと報告があったら信じますか」。「いや」。3人が同じことを言ったらと再び聞けば、恵王は「信じる」とあっさり答えた。人間は証拠がない話でも、多数が言うならば信じやすい。うわさの恐ろしさでもある。「三人虎を成す」の名で故事になった。

何が真実で何がうそか。証拠がないまま言葉だけが独り歩きする。疑惑が解明されるどころか、頭の中がこんがらがった人もいるだろう。森友学園の籠池(かごいけ)泰典氏に対する証人喚問である。

疑惑の一つ、安倍首相から昭恵夫人を通じて100万円を受け取ったとの発言。もし本当ならば、国会で首相が否定していただけに責任問題にもなりかねない。

籠池氏は園長室で夫人が人払いをしたうえ、金を渡したと語っていた。昭恵夫人側は否定している。それならば国会で反論を聞いてみたい。

そもそも籠池氏が証言を希望したのは、政治家が手のひらを返すような態度をしたからだと言う。お友達と思っていた人が疑惑が浮上した途端に冷たくなった。籠池氏の怒りは分かるが、証言に裏付けがなければうわさの類いと同じだ。

疑惑の本丸は、学園への国有地売却の不透明な経緯である。解明には関係者の証言が要る。ただ沈黙し、疑惑が通り過ぎるのを待っているなら、自らが困る事態になるかもしれない。



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天鐘 3/24

 「忖度(そんたく)」とは相手の心中を推し量ることで、その心情を酌み取った結果、程よく取り計らって手加減することを「斟酌(しんしゃく)」、取りなすことを「口利き」という(広辞苑)。いずれも心の微妙な動きだけに形としては見えにくい。

「森友学園」の国有地売却問題を巡り籠池泰典氏は、国会証人喚問で「安倍晋三から」と昭恵首相夫人が差し出した寄付100万円を受け取り、借地契約や校舎建設では「夫人を通じて相談した」と証言した。

評価額より8億円安い用地の払い下げや認可申請では、松井一郎大阪府知事や国会議員の名を挙げて「関与はあっただろう」「神風が吹いた」と詳述。「夫人から口止めと取れるメールが届いた」と実に生々しい。

夫人の名誉校長就任で財務省や大阪府が首相周辺を慮(おもんぱか)り手心を加えた―とこれまでの主張に沿う内容で、政府は全面否定した。真相解明には党利を超えた緻密な検証と名前が挙がった関係者の証言が不可欠だ。

証言が事実なら首相夫人や政治家と官僚の取り合わせの妙に驚かされる。政治家が物を言わなくても賢明な官僚は阿吽(あうん)の呼吸で忖度する。官僚の多くは忖度の結果をいかに出世に結び付けるかに腐心しているとか。

忖度に罪はないが私欲とつながれば口利きに直結する。加速度を増す申請手続き、本人も驚く用地価格引き下げは理解の度を超える。忖度で8億円なら「藁(わら)しべ長者」もびっくりでは。


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北斗星 3/24

 万事において控えめな秋田人だったら他人に向かって尋ねたりしないだろうが、大阪人はしばしば自分の持ち物を見せて「これ、いくらやと思う?」と尋ねるという。

相手が高めの値段を言うと、「そないに見える? ずっと安いねん。ええやろ」とうれしそうに答える。逆に「それいくらしたん?」と、ちゅうちょせず尋ねたりもする。以上は大阪の生活習慣や地域特性を網羅した「大阪ルール」(中経出版)に書いてある。

大阪人は良いものをより安く買ったときの満足感がたまらず、ついつい自慢したくなるのだという。虚飾を嫌い、実利を優先する。さすが商都。加えて人懐こくサービス精神にあふれているところが好きだ。

いかにも大阪人やなあ、と感じるのが大阪の学校法人「森友学園」理事長の籠池(かごいけ)泰典氏だ。計画通り4月に小学校が開校していれば、国有地を安く手に入れた、どんなもんや、と自慢するタイプとみた。

小学校計画は開校を目前にして頓挫。校舎建築費の支払いが滞り、系列幼稚園の土地建物が仮差し押さえされるなど窮地に立っている。証人喚問された国会で、十字砲火を浴びている現状を「どないなってんのかなあ」とぼやく姿が悲しくも滑稽だった。

うその証言をすれば偽証罪に問われる証人喚問で、籠池氏は政治家らの名前を挙げて際どい発言を連発した。サービス精神を発揮したわけではあるまい。身を捨てて誰かと戦う覚悟を固めたのだろう。さて国会は、どないする。

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大自在 3/24

 国会の演説や質疑を中継するテレビの視聴率は総じて低いというのが大方の見方ではないか。芸能番組やスポーツイベントなどと比較するのもどうかと思うが、やはり面白くないということだろう。ただし、国会中継でも国民の関心が高い重大な問題を扱う証人喚問は違うようだ。

 過去を振り返っても、視聴率はかなり高かったような気がする。偽証すれば、刑罰の対象になるなど強制力を持つため張り詰めた雰囲気の中でぎりぎりのやりとりがストレートに伝わり“時代の目撃者”のような気分になった人もいよう。

 「記憶にございません」という言葉が流行語になったのは1976年。ロッキード事件で証人喚問された実業家が明確な証言を避けて連発した言葉だ。その後、実業家は偽証罪に問われ、有罪となった。

 過去には証人喚問の冒頭、署名する際、突然手が震えだし、なかなか書けなかった証人も記憶に残る。映像で見る冷静な態度とは裏腹に心中は不安にさいなまれていたのかもしれない。そして、きのう久しぶりに証人喚問の国会中継に見入った。

 国有地の格安取得や小学校設置認可を巡り、疑惑を指摘される「森友学園」の籠池泰典証人である。国有地の8億円余り値引きの背景に政治家の関与を示唆するなど証言は多岐に及んだが、一方的な発言であり、真偽が判明するはずもない。

 疑惑の核心になると「刑事訴追の恐れがあり、証言を控えたい」と証人喚問ではおなじみの発言も飛び出した。テレビ中継を見ていたら、あの四字熟語が頭に浮かんだ。「隔靴掻痒[そうよう]」の感深し。

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