警告

2017032005543774f.jpeg


中日春秋 3/20

漫画「鉄腕アトム」の中でも最も人気の高いエピソードは、「地上最大のロボット」だったと手塚さん本人が書いていらっしゃる。

こんな物語である。どこかの元国王がプルートウなるロボットを作ってアトムを含む、世界に名だたるロボットと決闘し破壊せよと命令する。自分のプルートウこそ世界最強と証明するためである。

プルートウは勝利を重ねるが、結局は、さらに強いロボットによって打ち倒される。雑誌連載は一九六四年から六五年。米ソの冷戦期で、手塚さんが描きたかったのはどこまでいっても切りのない軍備拡大競争の不毛さである。

約半世紀前の漫画の「警告」が無視できない状況かもしれぬ。米中両国の国防費の高い伸びである。

トランプ米政権は二〇一八会計年度予算教書で国防費を前年度から10%増額するとボールを投げる。中国は中国で一七年度国防費の伸びが前年度実績比で「7%前後」になるとにらみ返す。相互不信が軍拡を呼び、軍拡がさらなる相互不信を呼ぶ。緊張のらせん階段に両国は足を踏み入れていないか。

「ロボットが力比べなどして何になる?」「ほんとに世界一のロボットとは正しく、そして賢く世界のためにつくす者をいうべきなのじゃ」。お茶の水博士のせりふ。ロボットを国に置き換えると手塚さんのメッセージが分かる。両国に正しく、賢く、世界のための道を求める。

2017032005543918e.jpeg
関連記事