社会と会社

社会と会社

 社会はsocietyの訳語だが、日本にはsocietyの意味での社会は根付いていないと言われる。あるのは世間だと。

 柳父章著『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)によると、明治10年代以後さかんに使われるようになったそうだ。明治初期の英和辞典にはsocietyが「会(ナカマ)、会社(クミアイ)、連衆(レンシュ)、交際(カウサイ)、合同(イツチ)、社友(シャチュウ)」となっているそうだ。

 当時、一般に使われていた和語、漢語をあてはめようとする試みだが、ぴったり一致するものがなかったことがうかがえる。

 訳語の中にある「会社」は、今では会社と読んで、社会とは別物である。ところが、明治初期には「同じ志をもって物事を行う集団。結社。仲間」(『大辞林 第2版』)の意で使われていた。
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