育む

茨城春秋 3/16

ことばの響きは奥深い。「はぐくむ(育む)」はてっきり「育てる」の古風な言い回しぐらいにしか考えていなかったが、浅はかだった。

もともとは「は(羽)」と「くくむ(くるむ)」から成り、親鳥が自分の羽でひなをくるむ姿。そこから大事に守り育てる意味に転じたという。高橋こうじ著「日本の言葉の由来を愛おしむ」(東邦出版)に教えられた。

同書によれば、「あきらめる」も元をたどれば断念ではない。原型は「あきらむ(明らかにする)」。物事の行く末を見極めた達観の境地に近く、落胆とはほど遠い前向きなニュアンスがある。

「ほのぼの」も味がある。「ほの」は「ほのか」「ほんのり」に通じる少しの意だが、その少しにこそぬくもりを見いだす独特の心象が込められている。

3月は過去と未来に区切りを付ける月。切なさもある。進学や就職で手塩にかけて育んだわが子が旅立ったり、志望校に落ち長年の夢を諦めた子たちもいるだろう。ただ、どんな区切りの人にも早春の日差しはほのぼのと柔らかい。

県内はきのう一部で雪が舞った。なごり雪だ。そういえば「はる(春)」の響きも草木に宿る力が「張る」、閉塞(へいそく)の視界が一気に「晴る」から来たと聞く。そんな春ももう一息だ。 
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