うそを言うな

南風録 3/26

 「負けるな うそを言うな 弱い者をいじめるな」は、鹿児島市の山下小の校訓だ。薩摩藩の郷中教育の中核になった教えである。校区内に西郷隆盛ら偉人の生誕地がひしめく学校らしさを感じる。

 当時は地区内の年長者が年下の子どもの学問や武術の鍛錬に当たった。武士道を重んじるなど封建時代の武士教育ならではの部分もあるが、基本的な教えは子どもにも分かりやすい。

 稲田朋美防衛相の国会答弁が物議を醸している。学校法人「森友学園」の問題で訴訟に関与していないとしていた国会答弁を一転撤回した。まさに「うそ」をついていたのも同然だ。国防を預かる閣僚としての資質も問われる。

 「顧問弁護士だったこともなく、裁判を行ったこともない」と強調していたが、弁護士として出廷した裁判所の記録が残っていた。「確認せずに答弁した」との釈明はあきれるばかりだ。

 学園が運営する幼稚園は、戦前の教育方針を示した教育勅語を暗唱させていた。稲田防衛相はその理念を是認する。親孝行や博愛なども説いているが、軍国主義と結びつき、衆参両院が排除・失効を決議したことを知っているのだろうか。

 国有地の払い下げ問題など学園を巡る疑惑は積み残されている。南スーダンのPKO撤収など本質的な議論も手つかずだ。真相解明のため、関係者がこの合言葉を唱和することを勧めたい。「うそを言うな」
関連記事