ワイヤジレンマ

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中日春秋 3/12

英語の「ワイヤジレンマ」を直訳すれば「針金の板挟み」だが、アクション映画などでおなじみの状況を意味する

こんな場面である。箱をそっと開けてみる。爆弾が仕掛けられ、青と赤の二本のコードが見えている。爆発まで残されたのは数分。どちらかを切断すれば解除できるが、間違った方を選べばとたんに爆発する。青か赤か。秒針の音、額の汗。主人公は意を決し一方を切る。静寂。爆発はしなかった。タイマーを見れば、爆発まで、あと数秒のところ…

なんとも決断の遅い「主人公」で、やっと適切なコードを切断したか。政府は南スーダン国連平和維持活動(PKO)に派遣した陸上自衛隊の撤収を決定した。

首都ジュバでは大規模な武力衝突が発生するなど治安悪化が指摘されていたが、自衛隊員の身にもしものことが起こる前に「爆弾」は解除された。

この「主人公」は意図的に「爆弾」の切断を遅らせていたのではないかという疑念も消えない。離れた場所にいる国連職員らを武器を使って救出する「駆け付け警護」。安保関連法成立で可能となった新任務を付与した派遣という実績欲しさに、ぎりぎりまでコードの切断をためらったのではないかと、勘ぐりたくもなる。

しかも「爆弾」はまだ解除されていないのかもしれない。撤収時期は五月末。それまでの間、現地の時限装置はチクタクと動き続ける。

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