震災から6年

やつらの足音のバラード

作詞:園山俊二 作曲:かまやつひろし

なんにもない なんにもない まったく なんにもない
生まれた 生まれた なにが生まれた
星がひとつ 暗い宇宙に 生まれた
星には夜があり そして朝が訪れた
なんにもない 大地に ただ風が吹いてた

やがて 大地に 草が生え 樹が生え
海には アンモナイトが 生まれた
雲が流れ 時が流れ 流れた
プロントザウルスが ほろび イグアノドンが さかえた
なんにもない 大空に ただ雲が流れた

山が火を噴き 大地を 氷河がおおった
マンモスの からだを 長い毛が おおった
なんにもない 草原に かすかに
やつらの足音がきこえた 地平線のかなたより
マンモスのにおいとともに やつらが やってきた

やってきた…


…………………………

水や空 3/11

 ただ、風が吹き、雲が流れていた「暗い宇宙に生まれた星」の「なんにもない大地」-先日、ムッシュかまやつさんの訃報に触れて思い起こしたあの曲。曲名を「やつらの足音のバラード」という。作詞は漫画家の園山俊二氏。

平易な言葉でつづられる地球と生命の誕生。人類は3番のおしまいになってようやく登場する。〈地平線のかなたより/マンモスのにおいとともに/やつらがやってきた〉。そう、人間は新参者だった。

よく似た趣旨の主張を、3日前の県立高入試の国語の問題で見つけた。〈例えば、イモリと人間はどちらがすばらしい生きものかと考えてもよくわかりません〉。出典は、生命誌研究者・中村桂子氏の「知の発見」。

設問を離れて読み返しておきたい。「人間が生きものだということを忘れて、経済や技術のことだけを考えている社会は問題だ」「自然を壊す行為は人間も壊す、という感覚はあまり持たれていない。それは怖いことだ」。中村氏は説く。

東日本大震災からきょうで6年。地球は「新参者」の勝手気ままを許さなかったのかもしれない-とだけ、あの津波や原発事故を語ることは情緒的に過ぎるのだろうが。

無力をかみ締めて、それでもしぶとく立ち上がり、謙虚さを忘れずに一歩ずつ前へ。その足音に改めて耳を澄ます。
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