ずっとウソだった

『ずっとウソだった』

この国を歩けば、原発が54基
教科書もCMも言ってたよ、安全です。

俺たちを騙して、言い訳は「想定外」
懐かしいあの空、くすぐったい黒い雨。

ずっとウソだったんだぜ
やっぱ、ばれてしまったな
ホント、ウソだったんだぜ
原子力は安全です。

ずっとウソだったんだぜ
ほうれん草食いてえな
ホント、ウソだったんだぜ
気づいてたろ、この事態。

風に舞う放射能はもう止められない

何人が被曝すれば気がついてくれるの?
この国の政府。

この街を離れて、うまい水見つけたかい?

教えてよ!
やっぱいいや…

もうどこも逃げ場はない。

ずっとクソだったんだぜ
東電も、北電も、中電も、九電も
もう夢ばかり見てないけど、

ずっと、クソだったんだぜ
それでも続ける気だ
ホント、クソだったんだぜ
何かがしたいこの気持ち
ずっと、ウソだったんだぜ
ホント、クソだったんだぜ

…………………………





 シンガー・ソングライターの斉藤和義さんには、CDに収めていない人気曲がある。自らのヒット曲の題名の「好き」を「ウソ」に変えた「ずっとウソだった」である。福島第1原発の事故を目の当たりにして作った。

事故直後にはネットの動画サイトで話題を集めた。教科書もCMも原発は安全と言っていた。うそでだまして想定外と言い訳している―。そんな歌詞で安全神話の崩壊を歌う。音楽イベントで生の歌を聴く機会があった。ひょうひょうとした中にも強いメッセージが伝わってきた。

後のインタビューで「文句を言わなければ、原発をまた受け入れることになる」と答えている。怒りの一つも歌えなくて何が歌手なのか、とも。

本当に津波の大きさは「想定外」だったのか。東日本大震災から6年がたっても、その答えは出ていない。東京電力が津波対策を怠ったとして、元会長ら旧経営陣3人の刑事責任を問う裁判は、検察審査会による強制起訴から1年がすぎてようやく、事前の準備手続きが今月始まる。

検察が「大津波は予測できなかった」と判断したように、有罪を立証するハードルは高いとされるが、裁判を通して真相の解明が進むことが期待される。

未曽有の大事故の責任はどこにあるのか。投げ掛けられているのは斉藤さんの歌と同じ、国民の素朴な怒りや疑問である。
関連記事