耳の日

金口木舌 3/3

きょうは「耳の日」。3月3日の語呂合わせかと思ったら、歴史上の偉人2人とも関わりがある。1人はグラハム・ベル。電話の発明で有名だが、生涯を聴覚障がい者教育に尽くした。生まれは1847年3月3日だ。

21歳でろう学校の教師になり、「聞こえない人たちを助けるのはライフワーク」と語っている。ベルの母親と妻も耳が不自由だった。話し方と音には幼い頃から強い興味があり、それが電話の発明につながった。

もう1人はヘレン・ケラー。見えない、聞こえない、話せないの三重苦で知られる。ケラーの両親がベルの元を訪ね、紹介してもらったのがサリバン先生だ。

6歳のケラーと21歳のサリバンは1887年3月3日に初めて出会う。ケラーは自伝で「私の魂の誕生日。生涯で最も大事な日」と記す。聞き分けのなかった少女に、サリバンは根気強く指文字で物の名を教え、対話ができるまでになった。

ベルは2人を物心両面で支え続けた。ケラーはベルとの出会いを「私を暗く寂しい世界から友情と知識と愛に満ちた明るい世界に連れ出してくれるドアだった」と感謝する。

携帯電話やスマホは日常の道具となった。電話は、人と人との対話の壁を取り除きたいというベルの熱い思いの結晶だ。聴覚障がい者のために心を砕いた発明家が今の私たちの生活を豊かにしていることを忘れないでいたい。
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