教育という病

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内田良『教育という病』

教育という病~子どもと先生を苦しめる「教育リスク」~ (光文社新書)


「組体操」「二分の一成人式」「部活動における体罰と事故」などをテーマに,学校教育の当たり前と考えていることに問題を提起します。

そこにおける,リスクを明確にしていくのです。その手法が,エビデンスです。このエビデンスは,科学的根拠です。印象的,感情的な議論ではなく,科学的な根拠をもとに議論しようというのです。

確かにその方法論は,社会科学的なもので,有効性があると思います。逆の言い方をすると,様々な教育問題は,感情的なのです。そのことに異論はありません。実際,マスコミなどで取り上げられるのは,このような事件的,感情的な話題ばかりです。

さて,「組体操」ですが,最近は,巨大化,高層化,低年齢化が進んでいるといいます。確かに,YouTubeなどを見れば,巨大な組体操の動画は,数多くあげられています。

それも,感動や一体感といった,美辞麗句のもとに紹介されています。そのことに,著者は,問題を投げかけます。感動などのために,子どもや生徒の安全を犯していいのかと。

この点に関しては,全く同感です。「組体操」では,子どもたちにかなりの無理を強いているなぁと以前から感じていました。ですから,どのようにその負担を減らすか,ということを指導に入れていますが,それだけでは足りないなと思いました。

もっと,崩れたときの身のこなしや,単に精神論に陥らないような指導が必要だと感じたのです。

その他にも,柔道を中心にした「部活動の問題」や「体罰の問題」などを提起しています。
その核心は,「つきもの論」です。

組体操には,けががつきもの。部活動には,厳しさがつきもの。という「つきもの論」なのです。

この「つきもの論」と,感動や良きものという概念が,本当に子どものためになっているのかということが問題なのです。

例えば,「二分の1成人式」では,保護者を感動させるために,いろいろと企画しているというのです。
それでいて,子どもと保護者の関係に,学校が深く立ち入る問題性に踏み込んでいます。

子どもと保護者の関係は,学校が「感動」という理屈で立ち入れるほど単純ではなくなっているのです。
そのことを考えずに式を開くことは,やはり問題でしょう。

さまざまな問題,さらにその問題に巻き込まれる教師のリスクについても論じてある著作です。
今一度,学校教育を見つめなおすのに大切な書籍ではないかと思います。


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