『脳が認める勉強法』

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脳が認める勉強法――「学習の科学」が明かす驚きの真実!

最近,脳科学については,少し距離を置かないとなぁと思っています。
というのも,「最近の脳科学では〜のように証明されています。」のような言説の持つ問題を考えるからです。

どんな問題かというと,そのような言説は,絶対的な権威を持つということです。
つまり,脳という人間の最終的,未だ明らかにされていない科学的分野で,証明されたとなると,そのことに対して反論や議論が成立しなくなるからです。

そのことを「脳科学の暴走」と呼んだ識者もいます。

ですから,脳科学関連の書物には,注意しながら接してきたのですが,この文献は,少し違っているように思います。

というのは,脳科学が絶対的真理という立場ではなく,これまで脳や学習について科学的に検証してきたが,それらが教育現場で活用されていない事実を明らかにし,「本当に学ぶとはどういうことか」ということについて真正面から取り組んでいるからです。

その内容は,興味深いものです。
例えば,現行の指導要領や教育雑誌,教育学会で,当たり前とされている反復学習について,単に反復するのではなく,ある程度時間を置いてから反復する方が記憶に残りやすいという事実について科学的に論証しています。

具体的には,記憶してすぐに反復するよりは,いくらか日にちを置いてから反復する方が記憶に残りやすいのです。その間をあける期間ですが,二、三日から一週間,テストや検証の時期に合わせて異なるようです。

そして,このような科学的な事実は,科学的に検証される以前から,様々な知識人からの言説があったことも述べてあります。

ただ,この様々な知識人から言説は,やや後付け的な感も否めません。いい例が,占い師が自分の占いを正当化するために,様々な出来事を後付けする論法と似ているのです。ですから,安直に受け入れることはできません。

それでも,学習に,暗記に,何らかのヒントがあれば,それを教育現場に生かすことができるはずです。
何の科学的な論証なしに,経験則だけから指導するのではなく,より効果的,効率的な指導ができるかもしれないのです。

あくまでも,「脳科学の暴走」を意識しつつ,教育現場に活用できることを吸収していく,そのようなスタンスで読みたい本です。



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