2017年09月18日の記事 (1/1)

自殺

金口木舌 9/18

夏休みが終わり、子どもたちの元気な笑顔が学校に戻ってきた。友達との再会を楽しみにしていた子も多いだろう。一方で、長い休みの残りを数え、ため息を漏らす児童生徒も多かったに違いない。

ため息だけで終わればいいが、自ら命を絶つ子どもが少なくないことは、深刻な問題だ。内閣府がまとめた1972~2013年のデータによると、18歳以下の子どもが自殺した日は、夏休み明けの9月1日が突出して多かった。

自殺の原因は、小中学生が「家族からのしつけ、叱責(しっせき)」など家庭生活に関するものが多いが、高校生は「学業不振」「進路に関する悩み」が増える。いじめや友人関係などの悩みもある。

9月や4月の新学期が始まる前後に件数が増え、夏休み期間中は減る傾向があった。15年版自殺対策白書は「休み明けの直後は大きなプレッシャーや精神的動揺が生じやすい」と指摘している。

文部科学省は、子どもの悩みの早期発見など、夏休み明けの自殺予防で対応を強化するよう、都道府県教育委員会などに通知している。相談態勢の強化や居場所づくりなど、民間団体を含めた取り組みが全国で広がっている。

大事なのは、悩みを抱える子を孤立させないことだ。SOSを見逃さないよう見守る必要がある。子どもたちには、知っておいてほしい。生きる道は、学校の外にもたくさんある。

忍びの術

滴一滴 9/18

海外から日本を訪れる観光客の関心が極めて高い。「今でも実在している」と信じ、「なりたい」と思っている人も多いという。忍者のことである。神秘さや超人的アクションが魅力のようだ。

その忍者に新たな光が当たろうとしている。三重大学が大学院入試の選択科目に「忍者・忍術学」の導入を決めた。入学後は、古文書の解析など忍者に関する研究を深めてもらう。

三重県伊賀市は、伊賀流忍者発祥の地。地元の三重大などと連携し、“忍者文化”に着目した地域活性化に取り組んでいる。7月には国際忍者研究センターも発足し、本格的な学術研究とPRに動きだした。

もっとも、時代劇や漫画などで広く知られる忍者のイメージは実態とは異なるようだ。忍者研究で知られる同大の山田雄司人文学部教授は「本当の忍者を正しく知ってもらい、その知恵や精神を現代社会に生かしたい」と語る。伝わる忍術書には、情報収集における忍びの心構えが記されているという。

例えば「会話は聞き上手で」。また“忍術の三病”に「恐れ」「侮り」「考え過ぎ」を挙げ、戒めている。各地の大名に仕えた当時の忍者はさまざまな人に扮(ふん)して巧みに心理を突き、諜報(ちょうほう)活動をする存在だったようだ。

情報を制することは何事も成功の近道とされる。現代にも“忍びの術”は十分に通用しそうだ。

定年後

時鐘 9/18

 定年後(ていねんご)、60歳(さい)から80歳代(だい)半(なか)ばまでに自由(じゆう)に使える時間(じかん)は8万(まん)時間。これは20歳から60歳までの40年(ねん)間(かん)の総実労働(そうじつろうどう)時間より多(おお)いそうだ。自(みずか)らの経験(けいけん)も加(くわ)えてライフプランについて執(しっ)筆(ぴつ)している楠木新氏(くすのきあらたし)の著書(ちょしょ)「定年後」に紹介(しょうかい)されている。

もちろん個別(こべつ)にさまざまなケースはあるだろうが、多くの勤(つと)め人(にん)にとって、定年を境(さかい)に膨大(ぼうだい)な自由時間が待(ま)ち受(う)けていると考(かんが)えてよさそうだ。

楠木氏は定年後、無理(むり)に起(お)きなくなったことで、朝(あさ)目覚(めざ)めた時に夢(ゆめ)を覚(おぼ)えていることが多くなったり、誰(だれ)からも名前(なまえ)を呼(よ)ばれず唯一(ゆいいつ)呼ばれるのは病院(びょういん)の順番待(じゅんばんま)ちの時だけ…といったおかしくも悲(かな)しげな経験(けいけん)をつづっている。

現(げん)役当時(えきとうじ)の残像(ざんぞう)が頭(あたま)から薄(うす)れた後(あと)に押(お)し寄(よ)せる孤独(こどく)を、いかに前向(まえむ)きに転換(てんかん)させるか。言(い)うは易(やす)しだが、大都会(だいとかい)の退職(たいしょく)者(しゃ)が組(そ)織(しき)を離(はな)れると社会(しゃかい)とのつながりが少(すく)なくなるのに対(たい)し、地方(ちほう)では、農作業(のうさぎょう)や自治(じち)会(かい)役員(やくいん)など頼(たよ)れる存在(そんざい)として地域(ちいき)で歓迎(かんげい)されるという。

100歳以上(いじょう)の人生(じんせい)の先輩(せんぱい)が7万人に迫(せま)るご時(じ)世(せい)。一段(いちだん)と増(ふ)えそうな自由時間を生かすため、若(わか)いうちにこそ地方へ移(うつ)っておいでと言いたい。

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地軸 9/18

 生命保険会社を2年前に定年退職した楠木新(あらた)さんは、誰からも名前を呼ばれなくなったことに気付いた。病院で看護師に声を掛けられたのが、その年の唯一の機会だった。

 電話やファクスも自分宛てには来ない。「名前を全く呼ばれないということは社会とつながっていないということ」と、定年退職者の不安を「定年後」(中公新書)で吐露している。

 もちろん元気に活躍する人は多い。でも家に居づらい男性たちは居場所を探す。楠木さんは、開館直後の図書館で新聞を取り合う「小競り合い」や、スポーツクラブの掲示板の「ここは養老院か」という苦情を目撃する。将来のわが身を思い、やるせなくなる。

 「定年退職して、毎日家にいるのはやめてね」―妻の言葉に、東京新聞の清水孝幸さんは50代での「地域デビュー」を思い立つ。記者生活30年近く。飲み友達は同僚や取材相手ばかりで、近所に友人はいなかった。

 まず最初は地元の将棋サークルに入会、やがて飲み会に誘われた。趣味講座やイベント、ボランティア活動などにも参加して地域の人たちと交流。その体験を新聞で連載した。「男性は最初の一歩がなかなか踏み出せない」と清水さん。記事に触発され、地域デビューを果たした読者もいたそうだ。

 定年後の自由な時間は、定年前の総労働時間に匹敵するという推計もある。今日は敬老の日。随分長くなった「老後」をどう生きるか、思いをはせる。

シルバー川柳

第17回「シルバー川柳」入選作品発表

 公益社団法人 全国有料老人ホーム協会(理事長:市原俊男、所在地:東京都中央区)が、毎年「敬老の日」に向け公募している「シルバー川柳」の今年の入選作品が決定いたしました。

 今年で17回目を迎えた「シルバー川柳」は、過去最高の15,576作品が寄せられ、下記の20作品が入選しました。今年度の選考は協会シルバー川柳選考会及び、当協会加盟ホーム入居者のうち67名による候補作品への投票で行いました。男女比については今年は男性が52%、女性48%と昨年に比べ、男性の割合が微増しています。また、今年は有料老人ホーム入居者からのご応募もめだちました。従来どおりの「シルバー世代あるある」はもちろん、時事的に話題のキーワードも多く寄せられ、アクティブシニアの皆さんの関心の幅の広さを感じる作品群となりました。(公募期間:平成29年3月1日~6月25日)

入選作品 ★の作者名はペンネーム

※敬称略・順不同

■紙おむつ地位も名誉も吸いとられ
厚木のかずちゃん(男性・神奈川県・73歳・無職)★

■字を忘れ考えてるうち文忘れ
鳥海一郎(男性・千葉県・93歳・無職)

■いつ死ぬか分かれば貯金使うのに
遙(女性・岐阜県・77歳・主婦)★

■生きがいは何かと聞かれ「生きること」
山田和一郎(男性・栃木県・61歳・無職)

■手をつなぎ互いの杖となるあした
荒木惠子(女性・愛媛県・63歳・無職)

■物忘れ知識を少し捨てただけ
加藤義秋(男性・千葉県・70歳・無職)

■温かく迎えてくれるは便座のみ
圓崎典子(女性・茨城県・53歳・パート)

■「君の名は?」老人会でも流行語
はだのさとこ(女性・岡山県・62歳・主婦)★

■iPad指舐めスライド孫怒る
長谷川明美(女性・東京都・57歳・主婦)

■遺言書「すべて妻に」と妻の文字
りく・そら・ばあば(女性・愛知県・59歳・主婦)★

■ルンバさえ越えてる段に足とられ
あーさまま(女性・大阪府・58歳・無職)★

■付いて来い言った家内に付いて行く
山本敦義(男性・愛媛県・83歳・無職)

■通帳に暗証番号書いている
平野好(男性・青森県・75歳・無職)

■寝てるのに起こされて飲む睡眠薬
瀬戸なおこ(女性・神奈川県・59歳・主婦)

■母がボケ初めて知った過去の恋
クローバー(女性・鹿児島県・49歳・主婦)★

■ポケモンを捜し歩いて捜されて
駄句さん(男性・静岡県・76歳・無職)★

■ペットロス主人の時より号泣し
岩谷紀子(女性・東京都・76歳・主婦)

■ピンポーンにやっと出たのに不在票
榎本美智代(女性・大阪府・54歳・ヘルパー)

■石段の下から拝む寺参り
浦本狂児(男性・熊本県・83歳・無職)

■できますと家族を泣かす認定日
中川潔(男性・福井県・53歳・会社員)

民主化 ?

中日春秋 9/18

ある男が神様に願をかけた。「明日は晴れにしてください。もし願いがかなえば、羊の頭をお供えします」。おみくじを引くと、願いはかなえられると出た。

別の男がやって来て願をかけた。「明日は雨を降らせてください。かなえば豚の頭をお供えします」。おみくじではやはりかなうと出た。神様は奥さんに告げた。「明日は天気なら羊、雨ならば豚が食べられるぞ。」

中国の笑い話という。相反する約束とは腹立たしい。その民主化運動指導者にはそんな「神様」になってほしくないのである。イスラム教徒少数民族ロヒンギャ問題で対応を非難されるミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問である。

政府の治安部隊がロヒンギャの村を焼き払い、銃撃したとの報告もある。「民族浄化」。おぞましき指摘もあるが、スー・チー氏は沈黙する。「どこで暮らす人々も自由や平和を享受できる世界を」。ノーベル平和賞の受賞演説でそう語った人がロヒンギャに背を向ける。

対応が難しいのは分かる。国民の九割が仏教徒でロヒンギャには冷ややか。スー・チー氏は民主化推進の上でも、その支持を失いたくない。軍の反発も避けたい。

しかし、それでは、正反対の約束をして、平気な顔のあの神様になる。少数民族の血と叫び声。それに目をつむり、民主化を推進したところで、誰がそれを民主化と称賛するだろうか。