2017年09月14日の記事 (1/1)

うそがうまい うそが好き

歌姫

歌:中島みゆき 作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

淋しいなんて 口に出したら
誰もみんな うとましくて 逃げだしてゆく
淋しくなんか ないと笑えば
淋しい荷物 肩の上では なお重くなる
せめてお前の歌を 安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに 立つ自分が見える

※歌姫 スカートの裾を
歌姫 潮風になげて
夢も哀しみも欲望も 歌い流してくれ※

南へ帰る船に遅れた
やせた水夫 ハーモニカを 吹き鳴らしてる
砂にまみれた 錆びた玩具に
やせた蝶々 密をさがし舞いおりている
握りこぶしの中にあるように見せた夢を
遠ざかる誰のために ふりかざせばいい

(※くりかえし)

男はいつも 嘘がうまいね
女よりも子供よりも 嘘がうまいね
女はいつも 嘘が好きだね
昨日よりも明日よりも 嘘が好きだね
せめておまえの歌を安酒で飲みほせば
遠ざかる船のデッキに たたずむ気がする

(※くりかえし)

握りこぶしの中に あるように見せた夢を
もう二年 もう十年 忘れすてるまで

(※くりかえし)

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くろしお 9/14

 この頃よく中島みゆきさんの「歌姫」の歌詞が頭を去来する。ふつう記憶に残るのは1番だろう。でもこの曲に関しては断然3番の歌詞がいい。もちろん個人的な感想だが。

 歌い出しはこうである。「男はいつもうそがうまいね 女よりも子どもよりもうそがうまいね」。本音のみでは渡っていけない世の中だ。百のまことに一のうそを混ぜるくらいは許されるのではと思う。もちろん、だれの心も傷つけず最後までばれなければの話だ。

 歌姫の歌詞は「女はいつもうそが好きだね 昨日よりも明日よりもうそが好きだね」と続く。うそが好きとは深い言葉。単純な「うまい」と違って、かなり難解だが女性がだれかをだまそうとして自分からつくうそのことではあるまい。

 ホテルの同じ部屋に宿泊していたことや新幹線のなかで手をつないでいたことなど不倫が疑われる行動を、週刊誌に暴露された女性ボーカルグループのメンバーだった参院議員と神戸市議の男性が、ふたりの関係を問われて、「一線は越えていない」と釈明した。

 推して知るべしの男女の仲を、どんな関係かと問う方も顔が赤くなるような話だ。だが、くだんの男性が印刷業者に架空発注し、それを政務活動費として申請したなどの事実が明るみに出ると同じ赤面でも怒気を帯びた人が多いだろう。

 政治家がうそで失笑を買うたびに政治不信が加速する。好きでついたうそではなかったろう。またうまくついたつもりでもばれるのがうそだ。うそをつかずに済む方法は政治に専心することのみ。国政も地方政治もその一点に違いはない。

心臓マッサージ







談話室 9/14

「もしもしかめよ-」で始まる童謡「うさぎとかめ」や、アニメ主題歌「アンパンマンのマーチ」などが長らく定番だった。救命措置で心臓マッサージをする際、1分間に100回超のテンポを刻みやすい曲だそうだ。

だが京都府立医科大の山畑佳篤(よしひろ)講師が数年前、心肺蘇生には1980年代の人気バンド「プリンセス・プリンセス」のヒット曲「Diamonds(ダイアモンド)」が最適と発表し話題になった。同じ4拍子でもリズムが細かいため、テンポが安定するという。他の曲も探してみたくなる。

欧米では、英グループ「ビー・ジーズ」の名曲「ステイン・アライブ」が心臓マッサージ講習の定番という。40年前の米映画「サタデー・ナイト・フィーバー」からヒットしたディスコナンバーだが、海外では今もCMで使われるほど有名な曲だけに、人気は衰えないとか。

ドイツの著作権団体が先頃、学校の救命講習で「ステイン-」を使う際の印税免除を発表したと聞き、粋な計らいに感心した。日本では、音楽教室での楽曲演奏に伴う著作権料の徴収を巡り訴訟まで起きたが、よもや救命講習に楽曲使用料が発生することはないと思いたい。



神様からご褒美

卓上四季 09/14


「神様は乗り越えられる試練しかその人に与えない」。困難にぶつかった人に対するこんな慰めの言葉がある。きれいごとめいて、今までは斜に構えて聞いていた。だが、平昌冬季五輪出場を決めたカーリング女子LS北見の選手たちを見ていると、そんな言葉も信じてみたくなる。

藤沢五月選手は4年前、ソチ五輪代表決定戦に大本命の中部電力スキップとして臨んだ。結果はまさかの敗退。普段「人前で泣いたら負けだと思う」と言っていた負けず嫌いが、号泣した。その後、何カ月もカーリングができなかった。

そのソチ五輪で、道銀チームの一員として5位入賞した吉田知那美選手は、五輪終了直後に戦力外通告を受けた。自信を失い引退を考えたほど。一方、妹の夕梨花選手は、姉ばかりが注目される環境に苦しんだ。「あの悔しさがあるから今、頑張れている」

チーム加入時に旭川高専生だった鈴木夕湖選手は、練習のため金曜夜に北見へ行き、日曜夜に旭川へ帰る生活を続けた。「やるって決めたから」と、決して泣き言は言わなかった。

そして、ゼロからチームを立ち上げた本橋麻里選手も、当時は「考えが甘い」と批判された。そんな雑音をはねのけ、多くの地元支援者の協力を支えに、わずか7年で五輪切符をつかんだ。

与えられた試練を彼女たちは見事に乗り越えた。神様は来年、平昌でどんなご褒美を用意しているだろう。

カッシーニ

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ジョヴァンニ・ドメニコ・カッシーニ(伊: Giovanni Domenico Cassini、1625年6月8日 - 1712年9月14日)は、イタリア出身のフランスの天文学者。パリ天文台の初代台長でもあった。ジェノヴァ共和国のペリナルドで生まれ、1673年にフランスに帰化してジャン=ドミニク・カッシーニと名乗った。土星の4つの衛星を発見したほか、惑星観測で様々な功績を残している。

1665年 - 木星の自転周期を算出。
1668年 - 木星の4衛星の運行表を作成。
1671年 - 土星の衛星イアペトゥスを発見。
1672年 - 土星の衛星レアを発見。
1675年 - 土星の輪は複数の輪で構成されていることを発見(一番外側の隙間にはカッシーニの間隙と名付けられた)。
1680年 - 月面図を作成。
1684年 - 土星の衛星ディオネを発見。
同上年 - 土星の衛星テティスを発見。
1997年に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局の土星探査機カッシーニ、月面のクレーターと火星のクレーターの名前が、彼にちなんで命名された。

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中日春秋 9/14

偉大な天文学者ジョバンニ・カッシーニが八十七年の生涯を終えたのは、三百五年前のきょう、九月十四日であった。

土星の衛星を四つ発見し、その輪の正体に迫ったカッシーニは晩年、視力を失った。フランスの思想家フォントネルは、こんな一文で、彼の偉業をたたえたという。<まるで、神の秘密の数々を目にしてしまったがために、視力を失ったギリシャ神話の予言者テイレシアスのようだ>

この天文学者の名を冠した土星探査機「カッシーニ」が二十年に及ぶ旅を終えて、あす、土星の大気圏に突入するという。この探査機は、何と多くの「土星の秘密の数々」を見せてくれただろうか。

衛星タイタンにメタンの雨が降り、湖などをつくっていることも分かった。衛星エンケラドスの表面の下に、暖かい海があることも分かった。土星の衛星には生命が存在する可能性がある。そういう秘密まで教えてくれたのだ。

「カッシーニ」は、燃え尽きる瞬間まで観測を続け、貴重なデータを送ってくる予定だ。これまでに撮影した画像は四十五万点にも及び、膨大な「遺産」の分析が進めば、さらなる発見が期待できるそうだ。

ギリシャ神話の予言者テイレシアスは、この世から去って冥界に行っても、卓越した予言を続けたという。探査機「カッシーニ」もまた、偉大な天文学者と同じように、テイレシアスのようである。

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盲目の予言者テイレシアス
 
 予言者というのはなかなか怖ろしい存在で、子供の頃の一時期、私は、ひょっこり予言者に出くわしたらどうしよう、望まない未来の姿を、すでに決定済みのものとして、ことごとく示されたらどうしよう、と悩んだことがあった。誰もが担うべき運命を持ち、それが宇宙の意志によって“書かれている”以上、その運命を知る方法があり、知る方法によって知った人間があることが、自明のように思えたから。
 未来なんて、大まかにならまだしも、事細かく知ってしまったら、生きていく気にもなりゃしない。
 
 ギリシャ神話に登場する稀代の予言者、盲目のテイレシアス。彼は、テバイの建国者カドモスが大地に蒔いた竜の牙から生まれた戦士スパルトイの末裔。

 ゼウスがアルクメネの夫に化けて、一夜限りの夫となりすましたこと。蛇を殺した赤ん坊ヘラクレスが、将来、無類の英雄となるだろうこと。テバイ王ペンテウスが、ディオニュソスを信仰しなければ八つ裂きにされて死ぬだろうこと。テバイの先王ライオスを殺害したのは、その息子オイディプスその人であること。スパルトイの血を継ぐ者をアレス神に捧げれば、テバイはアルゴスに勝利するだろうこと。赤ん坊ナルキッソスが、自らを知ることがなければ長生きするだろうこと。……などなど、数々の名予言。
 死して冥府にあっても、なお生前どおりの知力を失わず、オデュッセウスに、ポセイドン神の息子の眼を潰した呪いで、帰還が困難きわまるだろうことを予言した。

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 画像は、ザンキ「ヘラに盲目にされ、ゼウスに予言者にされるテイレシアス」。
  アントニオ・ザンキ(Antonio Zanchi, 1631-1722, Italian)


 
 さて、テイレシアスが盲目の予言者となったいきさつは……

 あるときテイレシアスは、山で交尾していた一対の蛇に出くわし、どういう理由からか、その蛇を杖で打った。するとたまげたことに、彼は女になってしまった。
 それから9年後、再び交尾中の蛇を見つけ、もしやと思って打ったところ、男に戻った。

 さて、男から女へ、そしてまた男へとアウフヘーベンした彼は、あるときゼウスとヘラの夫婦喧嘩に呼び出される。両神は、性の快楽は男女いずれが大なるや、と言い争っていたのだった。
 そりゃあ男のほうが快楽が大きいわよ、女よりも愉しんでるに決まっているわ、でなきゃ男があんなに浮気ばかりするはずないじゃないの、というのが、ヘラの言い分。いや、女のほうこそ悦んでいるのさ、というのがゼウスの言い分。
 で、両性ともの快楽を経験比較して知っているに違いないテイレシアスが、意見を求められたわけ。

 テイレシアスは答える。女の性の快楽は、男のそれより10倍大きい、つまりゼウスが正しい、と。
 ムキーッ! 怒ったヘラは腹癒せに、テイレシアスを盲目にしてしまう。代わりに、ゼウスは彼に予言の能力と長寿とを与えて、償ったという。

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 画像は、カルピオーニ「テイレシアスの前にナルキッソスを連れてくるリリオペ」。
  ジュリオ・カルピオーニ(Giulio Carpioni, 1613-1678, Italian)



 
 さすが神に与えられた長寿は長い。カドモスの建国後から、アルゴス七将のテバイ遠征、七将の子らによる復讐戦の時代まで、人間離れした長きにわたって、テイレシアスはテバイの予言者として君臨する。 

 テイレシアスには、女だった時代、ヘラ神の女司祭を務めながら、自ら生んだ(?)マントという娘がいる。予言の力というのは遺伝するようで、マントもまた、父よりも優れた予言者となり、マントの息子モプソスも、ギリシア軍の予言者カルカスを負かすほどの予言者となった。

 エピゴノイの戦い(テバイ遠征の七将が敗れた十年後、彼らの子らが復讐戦に再びテバイを攻撃し勝利した)の後、マントは最高の戦利品として、アポロン神に献上するためデルフォイへと連れられる。娘に随行したテイレシアスは、その途中、ティルプサの泉の水を飲んだのが理由で、死んだという。

 別伝では、テイレシアスが盲目になったのは、沐浴中のアテナ神の裸体を見てしまったためともいう。彼の母親であるニンフのカリクロが、彼の眼を元に戻してくれるようアテナに頼んだが叶わず、代わりに耳を清められて、鳥の言葉を理解する能力を得たのだとか。

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 画像は、H.シングルトン「マントとテイレシアス」。
  ヘンリー・シングルトン(Henry Singleton, 1766-1839, British)