2017年09月01日の記事 (1/1)

9月1日問題

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◎内閣府平成26年度版「自殺対策白書」より

 内閣府が過去40年間の累計日別自殺者数を独自集計し、18歳以下の子どもの自殺は、4月や9月など「長期の休み明け」に突出していたことを平成26年度版『自殺対策白書』で明らかにした。これまで自殺者数は、月別、年次などに区切って出されていたため「日別」で発表されたのは初めてのこと。また、18歳以下にかぎって集計されたのも初めてだった。

 9月1日は夏休み明け、2学期初日が全国的に重なる日だ。不登校経験者の女性(20歳)は「夏休み明けの9月1日は何度も死にたいと思った日、1学期からのいじめがまた続くかと思うと怖くてたまらなかった」と話す。親の会やフリースクール関係者などからは子どもの自殺が「休み明け」に集中していたことを以前から指摘。本紙も、97年8月31日の中学生による焼身自殺、体育館放火事件を機に創刊した。

 公表に際して内閣府は、子どもの自殺対策として相談業務拡大や講演会の実施などを挙げたが、これらはすでに行なわれている取り組み。今回の結果を受けての新たな対策はなかった。

苦しさの予兆 見えない?

 また内閣府は、子どもの自殺は遺書などが少なく「予兆がないことが多い」とも指摘。しかし、不登校の親の会のネットワーク団体「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」事務局長・野村芳美さんは「予兆は見える」と話す。体の不調を訴える、親から離れなくなるなど、直接「死にたい」と明言しなくとも「心が苦しい状態の予兆は見える」と言う。

 親の相談先は、登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク(℡03・3906・5614)、子どもの相談先は、「チャイルドライン」(℡0120・99・7777)まで。(石井志昂)

休み明けの自殺急増は現場の実感、子どもからのサインは?

◎心理カウンセラー・内田良子さんの話
 「休み明けの自殺」が多いのは現場の実感です。子どもの不登校の相談に乗って40年、つねに危機感を抱いてきました。とくに9月1日、夏休み明けは親が気を付ける日です。1学期、登校しぶりのあった子が「宿題ができていない」、「身体の具合が悪い」と訴えたら赤信号です。

 休ませる勇気こそ、親の愛情表現です。いじめや孤立で学校に居場所のない子どもは追い詰められれば自ら命を絶ちます。不安になったら「不登校の子どもの権利宣言」を子どもといっしょに読んでください。不登校の子どもたちがつくったものです。「私たちには安心して休む権利がある」とあります。不登校ができた子どもは命を絶たずにすむのです。

※2015年8月1日『不登校新聞』より


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上野動物園より

学校に行きたくないと思い悩んでいるみなさんへ

アメリカバクは敵から逃げる時は、一目散に水の中へ飛び込みます。

逃げる時に誰かの許可はいりません。

脇目も振らず逃げて下さい。

もし逃げ場所がなければ、動物園にいらっしゃい。

人間社会なんぞに縛られないたくさんの生物があなたを待っていますから。

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鎌倉市図書館より

もうすぐ二学期。

学校が始まるのが死ぬほどつらい子は、学校を休んで図書館へいらっしゃい。

マンガもライトノベルもあるよ。

一日いても誰も何も言わないよ。

9月から学校へ行くくらいなら死んじゃおうと思ったら、逃げ場所に図書館も思い出してね。

2015年8月26日


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中日春秋 9/1

<ランドセルしょった/六歳のぼく/学校へ行くとき/いつもまつおかさんちの前で/泣きたくなった/うちから 四軒さきの/小さな小さな家だったが/いつも そこから/ひきかえしたくなった…>

そんな詩を書いたのは、二〇〇〇年に六十歳で逝った辻征夫さんだ。辻さんは、小学校の事務職員として働いたことがあった。だが、そろばんができないため経理はお手上げ。要領が悪く、子どもたちをハラハラしながら見ていることしかできなかったという。

そういう詩人が生きていたら今ごろ、ハラハラどころではなく、いても立ってもいられなかったろう。政府の調査では、不登校を始めるのが最も多いとみられるのは、夏休み明け。そして、子どもの自殺が最も起こりやすいのは、九月一日前後。

「行きたくない」が「生きたくない」となってしまう子がいるのなら、はっきり伝えたい。「行きたくない」という気持ちを大切に生きてほしい、と。

辻さんの詩は、続く。<未知の場所へ/行こうとするとき/いまでも ぼくに/まつおかさんちがある/こころぼそさと かなしみが/いちどきに あふれてくる/ぼくは べつだん泣いたって/かまわないのだが/叫んだって いっこうに/かまわないのだがと/かんがえながら 黙って/とおりすぎる>

だれもが、そんな「まつおかさんち」を心に抱えているはずだ。

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明窓 9/1

夏休み最後の週末小学1年の息子が妻にもたれかかり、涙を流していた。聞けば、学校に行きたくないという。「知らないおじさんに遭うのが怖いんだ」。1学期の下校路で不審者に遭遇し、トラウマ(心的外傷)が残った。

恐怖や死を現実として受け止め始める多感な時期。どう声を掛けていいのか分からなかったが、妻が息子の話を聞き出し、人通りが多い道を通るよう助言したところ、気持ちの整理がついたようだ。きょうも玄関から「行ってきます」との声が聞こえた。

9月1日は一年の中で最も子どもの自殺が多く、日別平均の2.6倍に上る。いじめや友人関係、親とのトラブルなど原因はさまざまだろう。複数の要因が絡み合って追い詰められるのかもしれない。

学校生活が生活の大部分を占める子どもたちにとっては、大人が考える以上に逃げ場がない。親の目が気になり、休むのはもちろん、相談すらできない実態がある。

夏休み明けの自殺に対する認知度は広がり「学校がつらい時は逃げていい」との考えが定着しつつある。学校は大切だが、安心安全でなければ意味がない。児童館や図書館など学校以外に居場所はあると伝えたい。

電話相談を受けるボランティア団体・チャイルドラインしまねの高山幸子理事長は「子どもはまず、大人の反応を見て本当の悩みを明かす」と説く。子どもが大事にされていると実感できるよう寄り添い、アンテナの感度を高めて小さな変化に目を凝らす。新学期を機に親子関係を見つめ直したい。

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滴一滴 9/1

 夏休みは短くなる傾向のようだが、きょうから2学期という学校は多いだろう。新学期が楽しみな子もいればそうでない子もいる。筆者も一時期、後者だった思い出がある。

中学1年の時、クラスにいじめがあった。矛先はこちらにも向かってきた。担任は休み時間のいじめに気づかない。学校が悪意に満ちた空間であることにうんざりした。

それでも、どこか客観的でいられたのには理由がある。当時、けがで入院中の病院から学校に通っていた。学校から帰ると同室の大人たちと雑談した。難しい治療を受けている人もいたが、優しい笑顔を向けてくれた。学校は世界のほんの一部であり、世の中にはいろいろな人がいることを知って救われた。

夏休み明け前後に、自殺を考えるほど悩む子どもが多いという。周りが異変を察知できればいいが、親には心配をかけたくないと本心を隠す子も多い。

誰かと話せば少しは楽になると子どもたちに伝えたい。相談先の一つが18歳までの子ども専用電話「チャイルドライン」。各地の民間団体が連携し、無料電話(0120―997777)で、毎日午後4時から同9時まで受け付けている。

電話の受け手は研修を積んだボランティア。全国で約2千人が子どもの気持ちを受け止めたいと活動する。そんな大人もいることを子どもたちには知ってほしい。
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 まつおかさんちの家

  ランドセルしょった
  六歳のぼく
  学校へ行くとき
  いつもまつおかさんちの前で
  泣きたくなった
  うちから 四軒さきの
  小さな小さな家だったが
  いつも そこから
  ひきかえしたくなった
  がまんして 泣かないで
  学校へは行ったのだが

  ランドセルしょった
  六歳の弟
  ぶかぶかの帽子かぶって
  学校へ行くのを
  窓から見ていた
  ぼくは中学生だった
  弟は
  うつむいてのろのろ
  歩いていたが
  いきなり 大声で
  泣きだした
  まつおかさんちの前だった

  ときどき
  未知の場所へ
  行こうとするとき
  いまでも ぼくに
  まつおかさんちがある
  こころぼそさと かなしみが
  いちどきに あふれてくる
  ぼくは べつだん泣いたって
  かまわないのだが
  叫んだって いっこうに
  かまわないのだがと
  かんがえながら 黙って
  とおりすぎる


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学校

ゆうべからおなかが痛くて
医者へ行くから今日は休むと電話をかけた
もちろんおなかは痛くないし医者にも行かない
わたしは教師だが教師だってときには
学校なんかに行きたくない日があるんだよ
だれも私を(ぼくを/おれを)わかってくれない?
あたりまえじゃないか
ひとの内部ってのは やわらかい 壊れやすい 暗闇だから
無闇にずかずか踏み込んではいけない
それが礼儀なんだよ
それくらいのこともわからないぼんくらに
(きみの気持ちはよくわかるけどね)
そんなことまでいうんだわたしは
あああなんだかほんとうにおなかが痛んできたよ
だんだんずるやすみではなくなってきたみたいだけど
とにかく今日は行かないよ
ぜったいに行かない 登校拒否だ
そう決めたんだわたしはって
こういうところは子供のときと同じだなあ
おさなごころって
こんなところに残っていたんだ
あとで女房に話してやろう
女房のおさなごころはなへんにあるか 臀部か
と考えていると娘の部屋で音がした
とうに学校に行っていなければいけない時間なのに
どうしたのだろう
なになに ゆうべ遅くまで勉強したので起きられなかった?
今日は行きたくないから電話をかけて?
やだなあ
やだよ

娘と二人で散歩に出かけた
ちょっと近所のつもりが電車に乗って
郊外の川原に来た
変な気持ちだがいい気持ち
ぼんやりしてたら娘が言った
おとうさん?

なあに?

あしたは学校へ行く?

どうしょう

行けば?

うん


辻征夫(つじゆきお:1939-2000)
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