2017年05月18日の記事 (1/1)

アイノカゼ

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中日春秋 5/18

<アイノカゼ>。なんとなくおだやかな語感のある、この風は今時分の海風のことをいうそうだ。<東風(あゆのかぜ)いたく吹くらし奈吾(なご)の海人(あま)の釣する小舟榜(こ)ぎ隠(かく)る見ゆ>。大伴家持(おおとものやかもち)が越中に赴任したときの歌で、このアユノカゼがアイノカゼとなったという。

日本各地の風の名前を集めた民俗学者の柳田国男がアイノカゼについて、こんな説明をしている。「海岸に向つてまともに吹いて来る風、即(すなわ)ち数々の渡海の船を安らかに港入りさせ、又はくさぐさの珍らかなる物を、渚(なぎさ)に向つて吹き寄せる風のことであった」(『海上の道』)。してみれば、その風は人を喜ばせる風なのかもしれぬ。

そそっかしくも風の名に出会いの「会いの風」や「愛の風」の漢字を当てたくなる。秋篠宮ご夫妻の長女眞子さまが、大学時代の同級生の小室圭さんと婚約されることが分かった。

眞子さまもはやそういうお年ごろになっていらっしゃったか。お二人の<アイノカゼ>に日本列島に穏やかな空気が流れていることだろう。

皇室のおめでたい話になると親戚気分でお相手を吟味したくなる傾向が日本人にはあるかもしれぬ。絵に描いたような好青年の評はともかく、インタビューでのきまじめな受け答えにこの人ならばと安心した人もいるだろう。

神奈川県藤沢市の観光PR役の「海の王子」だったそうだ。なるほど、海からの<アイノカゼ>のお導きか。

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アイノカゼ資料

柳田国男 海上の道 - 青空文庫

風・めぐみとわざわい 佐伯 安一

風位考と民族土壌学~風の名前、土の名前と民俗伝承~

東風あゆにかぜ考

「心あひのかぜ」について


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