2017年05月08日の記事 (1/1)

学校は楽しい場

いばらぎ春秋 5/7

部屋の中は雑然とし、机の上には給食で残ったパンやマーガリンなどが並んでいた。

中学1年の冬、同級生と連れ立って担任の自宅アパートを訪ねた。新人の先生だった。円盤投げの選手だったという先生の右手は大きく、ごつごつしていたのが印象深い。突然押し掛けたのだが、追い返されることもなく、一緒にこたつに入って一晩中、とりとめのない話に付き合ってくれた。

学校の先生は時に人生の選択にも影響を及ぼす。いい思い出として心に残る半面、嫌な思いをした場合はずっと消えない暗い感情となる。

芥川賞作家の村上龍さんは自身の高校時代を描いた青春小説「69」のあとがきで記した。「わたしを傷つけた教師のことを今でも忘れない」「彼らは本当に大切なものをわたしから奪おうとした」。

取るに足らぬことに目くじらを立て、尊厳を踏みにじるような先生は、いつの時代にも存在する。失敗や勘違いを責め立てるのではなく、おおらかに受け止め、包み込む教育の実践を求めたい。子どもたちは先生を見ている。

いい先生は表情が豊かだ。笑顔一つで教室を明るくし、相手の気持ちをほぐす。そんな先生と取材を通しても出会ってきた。学校が楽しい場であることを願う。 

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あらすじ

ロックミュージックと学生運動が盛んな1969年、長崎・佐世保。進学高校の3年生ケンは活発な問題児で、女子生徒の気を惹きたい一心で仲間と学校をバリケード封鎖する。捕まって謹慎処分を受けてもエネルギーは止まらない。今度は街を挙げての盛大なフェスティバルの準備を始めた。



とにかく笑える

1969年のことを書いた、1987年の小説。

めちゃくちゃ笑える。

龍先生。またしても。これを読んでから完全にハマった。

村上龍作品を読んだことない人にはこれをまずおすすめしたい。


大体の作品のテーマは暴力かドラッグかSMかテロか反体制かって感じでハードなんだけど、


楽。面白い。超読みやすい。何度でも読み返せる。読んでてやる気が出てくる。

タイトルがタイトルだし、俺が買った文庫の表紙はショッキングピンクだし、どうせまたハードコアなやつだろうって思ってた。

違う。

ハジける青春。



「おはよう」
と、その涼し気な声は聞こえた。登校時の、学校前の、坂道、振り向くと、そこにはあの仔鹿のバンビがいた。松井和子だった。震えた。
「あ、おはよう」
と僕は答えてにこやかに笑い松井和子の肩に手を回して髪を撫でながら、というのは嘘で、口がきけなかった。
こういう「〜というのは嘘で、」みたいなのがよく出てくる。ウブで爽やかで甘酸っぱい。


要所でこういう感じで単語が強調される。


読んでて腹がよじれるほど笑った小説は唯一これだけ。

ビートたけしが言ってた「振り子の法則」を思い出した。

振り子のように生きないと。10の暴力は10の愛に変わる可能性がある。振り子の片方を高く上げれば、反対側にも高く上がる。人をもっと笑わせるためにひどいことを考えれば、反動で笑わせられる。人を嫌えばその反動で愛は深くなる。


つまり、気分を害するようなエグい事を言える人は、向きが変わればよっぽど笑える事だって言えるということ。

いやー、もっと早くこの本に出会いたかった。マイバイブル。



実体験?

文体は軽いし方言きついし全体的に可笑しいけど、随所に力強いメッセージが込められてる。

実体験が基になってるからかな。追憶しながら書いてるって感じ。

最初の書き出しに「あの頃の仲間たちに…」と書いてあり、終盤は登場人物一人一人の「その後」が書いてある。

中に「同級生が米軍基地の黒人と付き合いだす」って小話があるんだけど、これが少し面白い。

米兵に日本の女が奪われるのを見て育ってるから、村上龍は米兵を毛嫌いしてるはずなのに、高校卒業後の東京・福生の時(限りなく透明に近いブルー)ではドラッグと金欲しさに日本の女を米兵に斡旋してる。

なにやっとんねん。。

でもそういうカルマみたいなのってあるよね。



あとがきを一部

あとがきに良いことが書いてあるから紹介しよう。

「この小説に登場するのはほとんど実在の人物ばかりだが、
当時楽しんで生きていた人のことは良く、
楽しんで生きていなかった人のことは徹底的に悪く書いた。
楽しんで生きないのは、罪なことだ。
わたしは、高校時代にわたしを傷つけた教師のことを今でも忘れていない。
数少ない例外の教師を除いて、彼らは本当に大切なものをわたしから奪おうとした。
彼らは人間を家畜へと変える仕事を飽きずに続ける「退屈」の象徴だった。
そんな状況は、今でも変わっていないし、もっとひどくなっているはずだ。
だが、いつの時代にあっても、教師や刑事という権力の手先は手強いものだ。
彼らをただ殴っても結局こちらが損をすることになる。
唯一の復讐の方法は、彼らよりも楽しく生きることだと思う。
楽しく生きるためにはエネルギーがいる。
戦いである。
わたしはその戦いを今も続けている。
退屈な連中に自分の笑い声を聞かせてやるための戦いは死ぬまで終わることがないだろう。」





聞く力

正平調 5/7

ベストセラー「聞く力」を著した阿川佐和子さんの体験談である。聞き役なのに、ある人との対談ではついつい話し続けてしまった。なぜだろう。考えてたどり着いた結論は、ただ一つ。

「それで?」「面白いねえ」とひたすら言葉を挟む人だった。不思議なことにそれだけで話したくなる。ここが聞き上手の奥義と教えた対談相手は作家城山三郎さん。

封をした思いを少し口にするだけで楽になるものだ。この方も静かな相づちで重い心をもみほぐしてきたのだろう。今年の神戸新聞社会賞受賞者、牧秀一さんである。「阪神淡路大震災よろず相談室」の理事長だ。

震災直後の避難所で「先生なら、人の話、聞けるでしょ」と言われ、定時制高校の教諭だった牧さんはボランティア活動を始めた。以来、高齢者らの声に耳を傾ける。

数年前、本紙で読んだ復興住宅での場面が印象深い。夫を失った高齢の女性に牧さんが言う。「ご飯、ちゃんと食べてるか」。短い一言に女性は目を潤ませた。積み上げてきた信頼関係をうかがわせる場面である。

震災と向き合う多くの皆さんに神戸新聞平和賞、社会賞を贈ってきた。牧さんを含む受賞者一覧を見直しながら思う。それぞれの地道な活動が太い縄となり、苦難の坂を引っ張ってくれたと。

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 「聞く力  心をひらく35のヒント」 阿川佐和子 著

   まえがき  

Ⅰ  聞き上手とは  

1  インタビューは苦手

2  面白そうに聞く  

3  メールと会話は違う   

4  自分の話を聞いてほしくない人はいない

5  質問の柱は三本

6  「あれ?」と思ったことを聞く

7  観察を生かす

8  段取りを完全に決めない

9  相手の気持を推し測る

10 自分ならどう思うかを考える   

11 上っ面な受け答えをしない

Ⅱ  聞く醍醐味    

12 会話は生ものと心得る

13 脳みそを捜索する

14 話が脱線したときの戻し方

15 みんなでウケる

16 最後まで諦めない

17 素朴な質問を大切に

18 お決まりの話にならないように

19 聞きにくい話を突っ込むには  

20 先入観にとらわれない   

Ⅲ  話しやすい聞き方

21 相づちの極意   

22 「オウム返し質問」活用法    

23 初対面の人への近づき方

24 なぐさめの言葉は二秒後に

25 相手の目を見る

26 目の高さを合わせる

27 安易に「わかります」と言わない

28 知ったかぶりをしない

29 フックになる言葉を探す

30 相手のテンポを大事にする  

31 喋りすぎは禁物?

32 憧れの人への接し方   

33 相手に合わせて服を選ぶ

34 食事は対談の後で

35 遠藤周作さんに学んだこと   あとがきにかえて



     阿川さんの心がけている世界が、よく伝わってくる本でした。  人の話はそれぞれで、なにも 立派な話や おもしろおかしい話をする必要はない。 自らのことや思いを 自らの言葉で 一つずつ 具体的に話ししていけば、その中に その人らしさや人格が表れて、お互いに小さな発見があり、共感も生まれるということが、分かってきました。






教師の仕事

鳴潮 5/7

 教育実習の苦い思い出を一つ。日誌に「雑用が多く、生徒と関わる時間が少なくなるのを感じた」と書いた。ところが、指導教諭から赤字が入った。「雑用などない。全て教師本来の仕事である」
 
 2週間の、わずかな期間で全てを分かったように書いた、その不明を恥じた。30年以上も前の話を思い起こしたのは、忙しすぎる教諭の実態が浮かび上がったからである
 
 文部科学省が先日公表した調査で中学校教諭の57%が、「過労死ライン」を上回る時間外労働をしていた。学習指導要領の改定で増えた授業時間や、部活動・クラブ活動にかける時間の増加が勤務時間を押し上げたという
 
 教員の時間外勤務は法律などで限定されているが、それは名ばかりか。教育評論家の尾木直樹さんの言を借りれば、最低限の仕事だけで本来の勤務時間は終わってしまい、残る仕事を時間外労働でこなすなど「善意と努力でカバーしているのが現状」のようだ
 
 小学校の英語教育、アクティブラーニング、キャリア教育・・・と新たな課題がのしかかる。学力向上は至上命題。退勤を早めても、持ち帰る宿題は山のように。教師本来の仕事は肥大化し、複雑化している。これで疲弊しないわけがない
 
 善意と努力、情熱と使命。そんな思いを引き出すためには、余裕が必要である。教員の数を増やせないものか。

エディ・タウンゼント

南風録 5/7

 日本プロボクシング界屈指のトレーナーといえば、ハワイ生まれのエディ・タウンゼント氏だろう。1962年に来日し世界王者6人を育てた名伯楽である。

 東京で初めてジムを訪れた逸話がこの人らしい。リングそばに置かれた数本の竹刀に気付く。「この竹刀を片付けてよ。ボク、ハートで教えるの」。しごきに使っていると察し、一掃させた。

 心をつかむのがうまかった。「お前は強い」とその気にさせて特長を引き出す。選手が勝てばさっと姿を消すが、負けた時はいつまでもそばに付き添う。山本茂著の「エディ」(PHP研究所)にある。

 孤独で冷徹な世界を生きるボクサーには心が通い合う指導者の存在が欠かせない。世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級タイトルマッチで世界初挑戦する鹿児島市出身の村中優(すぐる)選手は、中学時代に出会った恩師が支えと聞く。

 学校では教師の手に負えない少年だった。それがボクシング教室で教えを受けると天性の素質や心根の素直さが花開く。2度の計量失敗という試練から再起した31歳は13日、英国で89歳の恩師に雄姿を披露する。

 末期がんのエディは88年、井岡弘樹選手の世界初防衛戦に出向く。容体が急変し病院でまな弟子の勝利を聞くとVサインして逝った。「ハッピーになりなさい」。恩師の名を刺しゅうしたトランクスで挑む村中選手にエディの言葉を贈ろう。

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内容
藤猛、海老原博幸、柴田国明、ガッツ石松、友利正、そして井岡弘樹…。日本が誇る6人の世界チャンピオンを育てあげた名トレーナー、エディ・タウンゼント。ボクサーと共に生き、ある時は勝利の喜びをわかちあい、ある時は一緒に苦い涙を流し、最強の男たちを育てるためにすべてを賭けたエディ。ガンに侵され、愛弟子・井岡の初防衛戦の夜、勝利を確認して逝ったエディ。その壮絶な半生を克明に描いた感動のノンフィクション作品。

目次
第1章 卵が割れたら怪物が出てきた
第2章 ガラスの拳を持った天才
第3章 神から授けられた強打
第4章 本名を失った意外性の男
第5章 太陽のような沖縄ボーイ
第6章 エディ伝説を背負った少年チャンプ
わだつみのエピローグ

忌野清志郎が示す進むべき道

金口木舌 5/7

今も支持され続けているミュージシャンの忌野清志郎さんは、8年前の5月に他界した。彼は「この国の憲法9条はまるでジョン・レノンの考え方みたいじゃないか?」という言葉を残している。

平和を希求する「イマジン」を歌ったレノンさん。かっこいい9条に、安倍晋三首相は自衛隊の存在を明記し、2020年に施行する方針を示した。「戦争の放棄」「戦力の不保持」をうたった9条に、自衛隊をどう位置付けるのか。

折しも憲法違反と批判を受けた安保関連法に基づき、海上自衛隊の護衛艦が米補給艦を防護する「武器等防護」が太平洋で実施された。政府は新任務の実績づくりを進める。

去る大戦で、日本軍の被害を受けたアジアの人たちに今の動きはどう映るだろうか。改憲は日本だけの問題ではなく、アジア各国も注視する国際問題でもある。

終戦から7年後、作家の坂口安吾さんは「拙者は戦争はしませんというのは、この1条に限って全く世界一の憲法」と記した。さらに「軍備や戦争を捨てたって、1等国にも2等国にも3等国にも立身するはずはないが、軍備や戦争を捨てない国は永久に1等国にも2等国にもなるはずがない」とも。

日本は何を目指しているのか。忌野さんは「戦争はやめよう。平和に生きよう。そしてみんな平等に暮らそう」と説いた。彼こそ明確に進むべき道を示している。







Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people living for today
想像してごらん 天国のない世界を
やってごらん 簡単なことさ
僕らの足元に地獄はなく
上にあるのは青空だけ
想像してごらん 今日という日のために生きているみんなを

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people living life in peace
想像してごらん 国境のない世界を
難しいことじゃないさ
殺すことも死ぬ理由もない
宗教も存在しない
想像してごらん 平和の中で生きているみんなを

You, you may say
I'm a dreamer, but I'm not the only one
I hope some day you'll join us
And the world will be as one
君は言うかもしれない
僕をドリーマーだと でもそれは僕だけじゃない
いつか、君も仲間になってくれるといいな
そして世界は一つになって生きていくんだ

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people sharing all the world
想像してごらん 何も所有していない世界を
やってごらん 君にもできるかもしれない
欲望も飢えも必要なく
人はみんな兄弟なんだ
想像してごらん 世界を分かち合っているみんなを

You, you may say
I'm a dreamer, but I'm not the only one
I hope some day you'll join us
And the world will be as one
君は言うかもしれない
僕をドリーマーだと でもそれは僕だけじゃない
いつか、君も仲間になってくれるといいな
そして世界は一つになって生きていくんだ


...fin