ことばの話の記事 (1/1)

ほっこりの意味


ことばの話 「ほっこりの意味」

先日、用語懇談会の放送分科会で、毎日放送のベテラン委員・Mさんが、こんな話をしてくれました。
「『ほっこり』という言葉は、今使われているような『ほっとする』『あったかい』という意味ではなくて『疲れた』という意味なんだよなあ。」
「ええ!そうなんですか!」
一同、ビックリ。早速(と言っても、だいぶ経ってからですが)辞書を引いてみました。『広辞苑』を引くと、
「ほっこり」(1)あたたかなさま。ほかほか。狂言の用例=「ほっこりとして一杯飲まう」(2)(上方方言)ふかし芋。(「膝栗毛」から用例)(3)もてあまして疲れたさま(用例なし)。
と3つの意味が載っていて、1は「あったかい」の意味で、私たちが普段使う「ほっこり」、2は「お芋」、これも暖かい(温かい)ことからの類推での使われ方でしょう。そして3番目にMさんがおっしゃる「疲れた」という意味が載っていました!ただし、用例はありませんでした。
「暖かい」と「疲れた」のどちらの意味が“初め”なのかはわかりませんが、たしかに両方の意味があるのですね。そこで『精選版日本国語大辞典』で「ほっこり」を引いてみると、こちらは6つ、意味が載っていました。その1番目と5番目が「暖かい」と「疲れた」の意味のようです。
(1)いかにも暖かそうなさまを表す語。*かたこと(1650)五「ほっこりはあたたまるかた與欠。是もほは火成べし」
(5)うんざりしたり、困り果てたりするさまを表す語。*浮世草子・諸芸独自万(1783)「イヤモ世話なもので、ほっこり致しました」
ということで、用例の演題から言うと、「暖かい」意味の方が100年以上古いようですね。しかし、「疲れた」の方も江戸時代からある意味なのですね。勉強になりました。

ことばの話 「まいど・おいど・マクド」

ことばの話 「まいど・おいど・マクド」


「ハンバーガーのマクドナルドを省略して言うと?」

この質問に「マック」と答えるのは関東人。関西人はもちろん「マクド」と答える。

ちなみに、「ミスター・ドーナッツ」は「ミスド」、ファミリーレストランの「びっくりドンキー」は「びくド」となるそうだ。

「マクド」「ミスド」「びくド」。この三つは、すべて外食産業と言う以外に、共通点がある。
いずれも3文字

最後が「ド」で終わる

アクセントが中高である
なぜ、こういった共通した省略形になってしまうのか?

なぜ「マック」にならないのかについて考えていたところ、ハタと思いついた。

関西には、この三つの法則に当てはまる、おなじみの言葉があるではないか!そう、「まいど!」である。さらに言うなら「おいど」である。もっとも、最近の関西の若者は「おいど」の意味を知らないようだが。(念のために言っておくと、「おいど」とは「おしり」の大阪弁である。もう死語かなあ。)

ともあれ、「マクドナルド」を省略する場合には、関西人がこういった伝統的でなじみのあるコトバ、「まいど」・「おいど」のニュアンスをベースに「マクド」と言っているのではないか?

もともと関西人には、「マック」のように促音便を使った歯切れの良い音は似合わない。

無声化しない「ク」を使った「マクド」の方が発音しやすいと言うことなのだろうか。

「マクド」を使うのは関西人だけではない、フランス人も使う・・・と言う話を聞いたことがあるのだが、真偽のほどは定かではない。どなたか、フランス人のお友達をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

最後になぜ「。」がついているのか


ことばの話4「最後になぜ「。」がついているのか」

7月から始まった水曜ヨル10時からの明石家さんま主演のドラマ「甘い生活。」

以前からこのタイトルの最後になぜ「。」がついているのかが気になってました。

最近では人気グループ「モーニング娘。」が、グループ名に「。」がついていて話題になりましたから、その真似をしたのかな?それとも、以前、他局が「人間失格」というドラマをやろうとしたら、太宰治の遺族からクレームがついたので「人間」と「失格」の間に「・」を入れて「人間・失格」としたことがありましたが、「甘い生活」もフェリーニの映画と同じタイトルなので、その辺を気遣って「。」をつけたのかな、などと思っていましたが、本当の理由はわかりません。

日本テレビの担当者に聞いてもらいました。

翌日、返ってきた答えは考えていた二つの案のどちらでもなく、「甘い生活がずっと続くわけではなく、いつかは終わるよ、という意味」なんだそうです。

ふーん、なるほど。確かに、「モーニング娘。」もいつかは終わるだろうし・・・。

とりあえず、私の希望は「経済不況。」といったところでしょうか。

ことばの話3「夏休みに入りました。」



今日7月19日は、各地の小中高等学校で一学期の終業式が行われました。

いよいよ夏休み!と言う訳ですが、ここで質問。「夏休みは何日から始まるのか?」
19日の終業式が終わった直後から
20日の海の記念日から
21日の水曜日から

なぜこんな事を言うかと言うと、今日のお昼のニュースで「今日終業式が行われ、いよいよ夏休みが始まりました。」という原稿が読まれたからです。これについて「今日は終業式で夏休みは明日からだから、いよいよ夏休みが始まります、の方が正しいのではないか」という意見が出ました。そこで、大阪府教育委員会に電話で聞いてみました。

すると、「学校管理運営規則によると、大阪府では7月21日から8月31日までが夏休み。だから正式には7月21日からが夏休みなのだが、実質20日も祝日で休みなので、20日からともいえる。」とのこと。「19日の終業式が終わればもう夏休みではないのですか?」という質問には「いえ、20日からですねえ。」と答えてくれました。

その回答を持って報道デスクにいったところ、「子供の気持ちとしては、終業式が終われば夏休み。うちはそれで行きましょう」との答えが。過去、4年間の終業式の原稿11件を調べてみますと、「○○(夏・冬・春)休みが始まりました。」が6回、「終業式が行われました。」が5回で、「○○休みが始まります。」という原稿は1回もありませんでした。

ということで、冒頭のクイズの正解は、法的には3番、実質的には2番。けれども、読売テレビの報道の原稿では1番と言うことになります。

社会と会社

社会と会社

 社会はsocietyの訳語だが、日本にはsocietyの意味での社会は根付いていないと言われる。あるのは世間だと。

 柳父章著『翻訳語成立事情』(岩波新書、1982年)によると、明治10年代以後さかんに使われるようになったそうだ。明治初期の英和辞典にはsocietyが「会(ナカマ)、会社(クミアイ)、連衆(レンシュ)、交際(カウサイ)、合同(イツチ)、社友(シャチュウ)」となっているそうだ。

 当時、一般に使われていた和語、漢語をあてはめようとする試みだが、ぴったり一致するものがなかったことがうかがえる。

 訳語の中にある「会社」は、今では会社と読んで、社会とは別物である。ところが、明治初期には「同じ志をもって物事を行う集団。結社。仲間」(『大辞林 第2版』)の意で使われていた。

ことばの話2「のほう」

ことばの話2「のほう」

ファミリーレストランなどでよく聞くことば「お皿のほうを下げさせていただきます。」

「お会計はレジのほうでお願いします。」「お水のほうはよろしいですか?」

あなたは何も感じませんか?この文章の中にある「のほう」。なくても意味は十分通じます。ニューススクランブルの中で不定期でお送りしている「シリーズ・平成ことば事情」で、先日この「のほう」を取り上げました。

なぜ「のほう」と言ってしまうのか?言語学者の話によると、「のほう」をつけることで丁寧なことばになったと思っているのでは・・・とのこと。別に「絶対使ってはいけないことば」ではないんですが、乱用は避けたいことばです。

この放送が終わってしばらくして、会社の近くで昼食を食べていたら、付け合わせのキャベツの中に小さな虫の死骸が入っていました。店の人に言うと、すぐに店長が飛んできて「あのぉ・・虫のほうが入っていたそうで・・・」「のほう」はやめろっちゅうに!

超永久保存版


◆ことばの話1「超永久保存版」

報道フロアの机の上においてあった1冊の雑誌。

「HANAKO WEST新定番のお店462軒」という大きなタイトルの横に書いてある文字に目が止まった。「超永久保存版」!

「永久保存版」というのは見たことがあるが、「超永久」というのは初めて見た。永久を超えるというのは、一体どういうことなのか?何万年くらい保存すればいいのか?

早速、編集部に電話して聞いてみたところ、編集長が丁寧に教えてくれた。

「この雑誌は月刊誌なので、寿命は1か月と考えています。普通、この業界では永久保存版というと1年を想定しています。だから、超永久保存版は、1年以上・・ということですね。ええ、普通に使ってますよ。」とのこと。

「永久」はたったの1年なんだ・・・。雑誌よりも刹那的に、1分・1秒で番組を作っている放送業界に籍を置く者として、「超」考えさせられるコトバでした。